値上げが続くノートPCで、メーカーが2025年初めと同じ利益率を保つには約80%の値上げが必要になるほど、部品コストが上がっていることが明らかになりました。これまでは安く仕入れた部品の在庫で値上げ幅が抑えられてきましたが、この在庫が尽きる2027年は、値上げかメモリ容量などの削減が進む見通しです。
ノートPCの部品コストは68%がCPUとメモリ、SSDに。利益率の維持には約80%の値上げが必要
ノートPCは2025年末からメモリとSSDの高騰を受けて値上げが続いており、国内でも2025年頃は10万円前後だったミドルレンジのノートPCが15万円前後まで上がっています。2026年3月にはCPUの値上げも加わり、メーカーが利益率を保つには40%近い値上げが必要になるとの試算も出ていました。
そんな中、市場調査会社のTrendForceによると、希望小売価格900ドル(約14万円)の主流ノートPCでは、部品コストに占めるCPUとメモリ、SSDの割合が2026年7〜9月期に約68%まで上がったとのことです。メモリの供給が安定していた2025年1〜3月期は約45%だったため、当時と同じ利益率を保つには約80%の値上げが必要で、約14万円のノートPCが約25万円になる計算です。
ただ、実際にはASUSが台湾で一部製品を累計約30%値上げし、国内でもVAIOが今年2回目の値上げを実施するなど値上げが繰り返されているものの、上げ幅は80%に届いていません。メーカーはこの差を、部品が値上がりする前に安く仕入れた在庫で吸収してきたとされています。
2027年は在庫が尽き、値上げかスペック削減へ。出荷台数は2年連続で減少の見通し
この在庫は2027年に尽き、それ以降は高値で仕入れたCPUやメモリ、SSDでノートPCを作ることになります。値上げすれば需要が弱まり、コスト増を自社で負担すれば利益が削られ、メモリ容量などのスペックを減らせば製品の競争力が落ちるため、メーカーは価格とスペック、利益の3つを同時には守れなくなるとのことです。
世界のノートPC出荷台数は値上げの幅に左右され、2027年はメーカーが製品構成やスペックの調整、コストの一部負担で値上げを抑えた場合でも、2026年の前年比9.4%減に続いて1桁台前半の減少が見込まれています。コスト増をすべて価格に乗せた場合は買い替えの周期がさらに延び、減少幅は1桁台後半まで広がる可能性があります。
スペックの調整では、8GB構成が既に低価格帯だけでなく20万円級のノートPCにまで広がっており、PC向けのDRAMは2027年の割り当てが2026年より減るとも報じられています。そのため、2027年は値上げを抑える手段としてメモリ容量の削減がさらに進み、メモリを多く積むPCほど値上げ幅も大きくなることから、これまでと同じ価格帯のノートPCは8GBになり、16GBは上の価格帯のモデルに限られていくとみられます。
2027年後半に下がるのはSSDから。メモリ容量と価格は戻らず
SSDに使うNANDは増産が進むことで2027年後半に供給の制約が緩む可能性がありますが、DRAMはAIサーバー向けに生産能力を取られて逼迫が続き、PC向けの供給は増えにくいとのことです。CPUも、Intelが粗利率の確保を優先してPC向けの供給価格を10月に約10%引き上げる計画で、メモリの需給とは関係なく値上げが続いています。
PCの価格は2027年後半から値下がりするとの予想もありますが、部品コストの68%を占めるCPUとメモリ、SSDのうち、この時期に値下がりが見込めるのはSSDの分だけです。そのため、ノートPCではSSDの容量から先に戻り始め、2025年末から上がり続けてきた本体価格と、削減が進むメモリ容量が2027年のうちに戻る可能性は低いと考えられます。もしWindows 11への乗り換えなどで直近の買い替えを計画している場合は、値下げを待つよりスペックダウンや値上がりが進む前に早めに購入した方が良さそうです。


