サーバー向けのEPYCとPC向けのRyzenを手がけるAMDが、第3四半期決算でPC市場は引き続き重要だとしつつ、2027年のPC出荷台数は2桁%減ると想定して計画していることを明らかにしました。ただ、同社はPC向けとデータセンター向けで生産を融通できるとしており、Ryzenは値下げで台数を追わず、高価格帯と自作向けに絞った展開が続くようです。
AMDは2027年のPC出荷台数の2桁%減を想定して計画
PC向けにRyzenを展開するAMDでは、2026年2月の2025年第4四半期決算で、CEOのLisa Su氏が、メモリなどの値上がりでPC市場全体は縮むものの、企業向けと高価格帯に力を入れればPC事業は伸ばせるとしていました。その後は売上の中心がデータセンターへ移り、第2四半期にはデータセンター部門が前年同期比107%増で全社売上の58%を占めた一方、ゲーミング部門は31%減となっています。
2026年第3四半期(7〜9月)の売上高は前年同期比45%増の134億ドル(約2.1兆円)と過去最高を更新しましたが、PC向けRyzenのクライアント部門は29億ドル(約4,500億円)で、ノート向けRyzenの牽引で前年同期比7%増えた一方、前四半期比では4%減りました。Lisa Su氏は、四半期の終盤にメモリなど部品の値上がりでPCの店頭販売が鈍ったためと説明しており、CFOのJean Hu氏によると、この減少は高価格帯の比率の上昇で一部補われたとのことです。

AMDの全社売上の中では、サーバー向けEPYCと新しいInstinct MI450シリーズに牽引されたデータセンター部門が前年同期比97%増の85億ドル(約1.3兆円)とほぼ倍になったため、クライアント部門は増収でも、全社売上に占める割合は前年同期の約3割から約2割に下がりました。なお、AMDはRyzen単体の売上を開示していません。

Jean Hu氏は第4四半期(10〜12月)の全社売上を170億ドル前後(約2.7兆円)と見込み、データセンター部門は前四半期比約50%増としています。これに対し、クライアント部門とゲーミング部門を合わせた部門は、前四半期比で20%超減る見通しです。この部門は、ゲーム機の世代の終盤でゲーミング部門が前年同期比40%減ったため、第3四半期の時点で同8%減の37億ドルとなっていました。Lisa Su氏は、第3四半期の終盤に売れ行きを鈍らせた部品の値上がりで一般向けPCの需要が落ちるとみて、2027年のPC出荷台数の2桁%減を想定して計画しています。そのうえでRyzenを製品計画どおりに投入し、企業向けのシェアを広げて市場を上回る成績を狙うとしています。
AMDはPC市場を引き続き重要と表明。Ryzenは値下げしにくいか
Lisa Su氏は、出荷が減る中でもPC市場を引き続き重要とし、AMDのシェアがまだ小さい企業向けと高価格帯の一般向け、自作向けの単体CPUを含むデスクトップの店頭販売に力を入れるとしており、企業向けでは世界の大手銀行10社のうち8社がRyzen PRO搭載PCを使っているとのことです。一方、競合が値下げしたら追随するかというアナリストの質問には、低価格帯は値動きが大きいもののAMDの関わりは最も小さく、最も価値と利益の高い分野に注力していると答え、追随するかは明言しませんでした。
低価格帯に深入りせずに済むのは、PC事業とデータセンター事業の間で生産を融通できる供給網があるためで、Lisa Su氏はAMDの製品全体では需要が供給を上回っているとも説明しています。実際に2026年第1四半期には、スマートフォン向けの減産で空いたTSMCの生産枠を使い、EPYCの出荷を増やしていました。そのため、PC向けの需要が落ちても、Ryzenを値下げしてまで台数を取りに行く必要は薄く、価格は下がりにくいとみられます。
Zen 6世代のRyzenは2027年前半に発売される見通しで、AMDは製品計画どおりの投入を掲げているため、予定どおり登場しそうです。ただ、高価格帯に絞る方針のもとでは、Zen 6 Ryzenは上位モデルから先に出て、価格も高めの構成になる可能性が高いと考えられます。


