サムスンがAppleなどスマートフォンメーカー向けのDRAMとNANDを、年末にかけてさらに7〜10%程度値上げする方向で交渉を進めています。
サムスンが第4四半期からAppleの供給価格を見直しへ。中国メーカーとは第3四半期から交渉
スマートフォン向けのDRAMとNANDは、サムスンやSK hynix、MicronがHBMとサーバー向けに生産を振り向けているため、2025年後半から不足が続いています。市場調査会社Omdiaの集計では、8GB DRAMと256GB NANDの組み合わせで2025年第3四半期の35ドルから2026年第1四半期には109ドル、第2四半期には132ドルまで上がり、メモリがSoCを抜いてスマートフォンで最も高価な部品になっています。
こうした中、韓国の時事ジャーナルeが9月8日に報じたところによると、サムスンのDS(半導体)部門は主要スマートフォンメーカーと、モバイル向けDRAMとNANDの価格再交渉を一部で進めているか、準備しているとのことです。中国のスマートフォンメーカーとは第3四半期以降に交渉が行われており、Apple向けには第4四半期以降に新しい価格条件が適用される見通しです。業界関係者は、端末メーカーとメモリメーカーが四半期ごとに決める契約価格について、サムスンがAppleと中華圏の顧客向けに既存価格から7〜10%程度引き上げることを検討していると証言しています。Omdiaも8GB+256GBの価格を第3四半期は140ドル、第4四半期は144ドルと予測しており、第3四半期の時点で前年同期の約4倍にあたります。
サムスンは7月の時点でも、第3四半期のDRAM平均販売価格を用途全体で最大20%程度引き上げようとしていると伝えられていました。しかし台湾の調査会社TrendForceは8月、スマートフォンメーカー側の在庫に余裕があることから、前期に高値を付けていたサムスンのスマートフォン向けモバイルDRAMは第3四半期の値上げが1桁台半ばに収まったと分析しており、今回の7〜10%も交渉の出発点で、実際の上げ幅はこれを下回る可能性があります。第3四半期に上げ幅が縮んだのは、端末メーカー側がこれ以上の値上げを受け入れられなくなったためで、TrendForceは第4四半期のモバイルDRAMは上げ幅がさらに縮み、NANDの契約価格は横ばいとの見方まで示しています。もっとも、縮むのは上げ幅であって価格が下がる方向ではありません。
Appleは購入規模で上げ幅を抑えられる立場。値上げは大容量構成に寄る
交渉相手のなかでも、Appleは購入量で突出しています。Omdiaによると、Appleの2026年上半期のスマートフォン向けNAND消費量は前年同期比で58%増え、NAND全体の消費量ではサムスンのMX事業部の約2倍、Xiaomiの約3倍にのぼります。別の業界関係者によると、こうした大口顧客は購入規模を前面に出して交渉するため、数年分の数量と価格をあらかじめ約束する長期契約や先行購入、大量発注で上げ幅を一部制限したり、数量を優先的に確保したりできるとのことです。
それでも前年より供給価格は上がっており、原価増はAppleの製品価格に反映されることになります。9月9日に発表されたiPhoneの値上げでは、米国で256GBと512GBが100ドル増にとどまった一方、iPhone Air 1TBだけは300ドル増と値上げ幅が突出し、日本でも容量を512GBから1TBへ上げる際の差額は35,000円から70,000円へ倍増するなど、大容量モデルほど大きな影響を受ける価格設定になっていました。そのため、販売数を維持するためにベースとなる256GBや512GBなどの容量では値上がりが抑えられる一方で、1TBや2TBなど大容量モデルに関しては、サムスンの供給価格引き上げにより値上げのペースが一段と加速する可能性があります。


