AppleはM8 Ultraを2基または4基搭載するAIサーバーを、企業向けに販売する案を検討していることが明らかになりました。また、複数のチップの接続にはNVIDIAの技術を採用することが候補に挙がっているようです。
AppleがXserve以来のサーバー販売を検討。M8 Ultraを2基か4基搭載し2029年投入を目標
Appleは2011年にラック型サーバーのXserveの販売を終えて以降、企業向けのサーバーを販売しておらず、いま自社で作っているのは、iPhoneなどでは処理しきれないApple Intelligenceの重い処理を担うPrivate Cloud Compute(PCC)用の自社向けサーバーだけです。
一方でMac miniやMac StudioはAIを扱う企業が大量に買い入れており、Appleが8月にM6を搭載したMac miniとM5 Ultraを例年より早く発表したのも、この需要に応えるためだったとThe Informationは伝えています。
その同紙が9月16日に報じたところによると、AppleはM8 Ultraを2基または4基搭載するAIサーバーを外部の企業に販売する案を検討しています。想定する顧客はAIモデルを自社の設備内で動かしたい企業で、用途は推論が中心です。開発は約1年前に、当時ハードウェア部門の責任者だったJohn Ternus現CEOの参画を受けて始まり、投入は2029年になる可能性がありますが、それまでに計画が中止されることもあり得るとのことです。
7月にはBloombergのMark Gurman氏が、2028年投入見込みの最大1.5TBのメモリに対応するM7 UltraをAppleのAIサーバーの基盤になりうるチップとして挙げていましたが、今回のサーバーはその次のM8世代を積み、しかも社外へ売る計画です。
チップ同士の接続はNVIDIAのNVLink Fusionが候補
このサーバーでM8 Ultra同士をつなぐ技術としてAppleがいま持つのは、M5 Ultraで4つのダイを束ねているUltraFusionと、macOS 26.2で加わったRDMA over Thunderboltの2つです。前者は1つのパッケージの中で完結する接続で、後者はThunderbolt 5ケーブルでMac同士を直結してメモリを直接やり取りする機能ですが、帯域はポートあたり80Gb/s(約10GB/s)と非常に狭いです。
Appleの既存のチップ間接続をサーバー規模まで広げるにはコストと速度の問題があることから、NVIDIAのNVLink Fusionの採用を検討しており、NVIDIAとはネットワーク関連ハードウェアの採用について協議しているとのことです。
NVLink Fusionは、NVIDIAのGPU同士をつなぐNVLinkを他社のCPUやアクセラレーターにも開放する技術で、2025年5月に発表され、Qualcommや富士通のCPUが採用を表明しています。現行のNVLink 6は1基あたり3.6TB/sの帯域で最大72基を相互接続でき、M8 Ultraを複数積んだサーバーを多数並べる規模になるとThunderbolt 5の直結では埋められない差があるため、Appleは自社技術の延長ではなくNVIDIAの接続に目を向けたとみられます。
なお、Appleはハードウェア以外にも企業顧客向けサポートの強化や、Apple製の機械学習フレームワークMLXへの投資など、AI開発者向けソフトの拡充が課題と見ており、今後の強化も検討しているようです。近い将来、エンタープライズ向けAIハードウェアにも本格的に手を出すと考えられます。


