中国のスマートフォンメーカーが、古いスマホやPC、サーバーから外したDRAMを新しいエントリー機に載せ、メモリ不足で引き下げていた生産目標を再び引き上げ始めています。回収されたチップの中には、5〜6年使われた後にさらに5〜6年使われるものもあるとのことです。
中国メーカーがメモリ不足で減らしたスマホの生産を、中古DRAMで再び増やす
中国のスマートフォンメーカーは、2026年第2四半期以降、メモリ価格の急騰と供給の先行きの見えなさから生産目標を大きく引き下げ、人員削減や支出の縮小も業界全体に広がっていました。打撃が特に大きかったのは、メモリが部材コストの6割近くを占める400ドル未満のエントリー機です。
そのうち一部のメーカーは、第3四半期の終わりからエントリー機の生産目標を再び引き上げ始めていますが、調査会社Counterpoint Researchによると、これはメモリの供給が良くなったからではなく、既存の機器から外した中古DRAMを新品の代わりに載せる例が増えたためとのことです。新品のDRAMが手に入りにくいのはメモリメーカーがサーバー向けの製品を優先しているためで、スマホ向けのLPDDRは来年まで不足が続く見通しとしています。
中古DRAMは、スマホやPC、サーバーからはんだを溶かして外したメモリチップに基本的な検査をかけ、新しい機器にはんだ付けし直したもので、5〜6年動いた後にさらに5〜6年使われるチップもあるとのことです。5〜6年前の2020〜21年に出たスマホはLPDDR4Xが中心だったため、スマホから外したチップの多くはこのLPDDR4/4X世代とみられます。エントリー向けの4G対応SoCは今もLPDDR4を使っていますが、メモリメーカーはLPDDR4の生産を段階的に終えており、サムスンも4月にLPDDR4/4Xの新規受注を止めたため、こうしたチップは新品が細っていくLPDDR4の代わりにエントリー機へ載せられることになります。
5〜6年使ったチップをさらに5〜6年。劣化でエラーが起きやすく
長く使われたDRAMは、劣化で残りの寿命が縮むうえ、データを保持する力も落ちてエラーが起きやすくなるとCounterpointは指摘しています。それでも一部のメーカーは、エントリー機に載せるDRAMをすべて中古品で賄う案まで検討しているとされていますが、どのメーカーかは明らかにされておらず、XiaomiやOPPO、vivoといった主要メーカーの主力機に中古DRAMが載るのかなどは明らかになっていません。
米国のサーバー用DDR4も流入の可能性。行き先はPC向けか
中古チップの供給網には、米国の大手データセンター事業者が使い終えたサーバー用のDDR4モジュールも流れ込む可能性があると、Counterpointは指摘しています。ただ、このDDR4はスマホのメインメモリであるLPDDRとは規格が異なるため、スマホには使えず、主なターゲットはPC用DRAMになるとみられています。
実際に、2023年にも中古のサーバー向けDDR4から外したチップがPC向けのDRAM製品に再利用されていましたが、このときは中古のDDR4を安く仕入れられることが理由でした。今はサムスンが大口の長期契約先向けを除いてDDR4の量産をほぼ終え、台湾メーカーの一部は第3四半期の契約価格を最大5割引き上げると通知しており、国内でもDDR4 32GB(16GB×2)の価格が7月下旬から約9%上がっています。中古チップを使うメリットは2023年より大きく、米国から出るDDR4はPCや家電向けのメモリ製品に回る可能性があります。
なお、メモリーの近況としてSK Hynixは2027年が供給不足の最悪の年になると予測しており、中古チップが出回る状況はしばらく続くとみられます。中古チップは使われた期間や残りの寿命を外から確かめにくいため、DDR4のPCでメモリを増設するなら、チップの製造元や保証の内容がはっきりした製品を選んだ方が良さそうです。


