メモリの高騰を受けて格安スマホに広がっている、古い機器から外して付け直した中古DRAMについて、調査会社TrendForceは、載せるスマホの割合が2027年に7〜9%まで増えると予測しています。中古DRAMが増えてもメモリの値上がりは覆らず、コストを抑えるための仕様の引き下げは、格安機より上の価格帯にも広がる可能性があるとのことです。
中古DRAMを載せるスマホの割合は2027年に7〜9%へ拡大
中古DRAMは、古いスマホやPC、サーバーから外したメモリチップを簡単な検査の後に新しい機器へはんだ付けし直したもので、5〜6年使われたチップがさらに5〜6年使われる例もあります。この中古DRAMを載せることで、中国のスマホメーカーの一部は、メモリ不足で引き下げていたエントリー機の生産目標を第3四半期の終わりから再び引き上げ始めていると、調査会社Counterpoint Researchが10月に伝えていました。
そんな中、調査会社TrendForceは、スマホ向けのDRAMの契約価格が上がり続けているため、スマホメーカーが格安機で安い中古DRAMへの切り替えを進めているとしています。部材コストの上昇を抑え、小売価格と出荷台数を保つのが狙いとのことです。その結果、中古DRAMを載せるスマホの割合は台数ベースで2026年に3〜4%、2027年には7〜9%まで増える見通しです。
中古DRAMの大半はLPDDR4Xの4GBで、約3万円未満の4G機に搭載
5〜6年前の2020〜21年に出たスマホはLPDDR4Xが中心だったため、そこから外されるチップの多くもこの世代とみられます。そのため、TrendForceによると、出回る中古DRAMも大半がLPDDR4Xとのことです。容量は4GBが中心で、主に1,299元(約3万円)未満の4G対応スマホに載っています。
エントリー向けの4G対応SoCは、今もLPDDR4世代のメモリを使っています。一方、メモリメーカーはLPDDR4の生産を段階的に終えており、サムスンも2026年4月にLPDDR4とLPDDR4Xの新規受注を止めました。このため、中古DRAMは、新品が手に入りにくくなるLPDDR4Xの穴を埋める形で、格安の4G機に集まっているとみられます。
ただ、長く使われたDRAMは劣化で残りの寿命が縮み、データを保つ力も落ちてエラーが起きやすくなるとCounterpointは指摘しています。そのため、中古DRAMを載せたスマホは寿命が短くなるおそれがあるとTrendForceもみています。調達の経路が複雑で品質のばらつきも読めないため、信頼性が下がってブランドの評判を傷つけ、保証や修理の費用も増えかねないとのことです。
DRAMの契約価格は2027年1〜3月期に上昇が加速へ。中古DRAMでは覆らず
スマホのメモリ容量は、TrendForceの2025年12月の予測で、2026年以降の中心がハイエンドで12〜16GB、エントリーで4GBとされています。中古DRAMを載せる4GB機はメモリがハイエンドの3〜4分の1以下のため、台数で1割近くまで広がっても、スマホ向けDRAMの総容量(ビット)に占める割合はそれほど増えないとみられます。
そのため、中古DRAMが広がっても、DRAMの契約価格の上昇傾向を覆すほどにはならないとTrendForceはみています。なお、DRAMの値上がりは2027年1〜3月期にさらに勢いを増す見通しとのことです。
中古DRAMでもメモリの値上がりが止まらないため、TrendForceは、コストを抑えるために仕様の低い部品を使う動きが、格安機より高い価格帯にも広がる可能性があるとしています。こうした仕様の引き下げはミドルレンジですでに起きており、部品原価が前年同期比52%増えてメモリが原価の4割を占める中、価格を抑えるためにプロセッサとカメラの仕様が下げられる傾向にあるとCounterpointは伝えています。
メモリ不足は、業界では2029〜2030年まで続くとの見方が出ています。そのため、中古DRAMが格安の4G機の値段を保つ策にとどまる中、仕様を下げてメモリの値上がりを吸収する動きは、不足が続く間、それより上の価格帯のスマホに広がっていきそうです。


