世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCが、最大の顧客であるNVIDIAの要請を受け、次世代のDRAM「3D DRAM」の製造を検討していると報じられました。ただ、工場をどう用意するかはまだ決まっておらず、製造を始める時期も示されていません。
TSMCがNVIDIAの要請で3D DRAMの生産を検討
AI需要でメモリが大きく不足し、価格が上がり続けています。そのため、国内でもDDR5 32GB(16GB×2)の平均価格が、2025年11月10日の約3.9万円から2026年11月7日には約9.3万円と、1年で約2.4倍に上がっています。
そんな中、米The Informationが11月6日、TSMCが最大の顧客であるNVIDIAの要請を受け、メモリセルを縦に積み重ねて容量を増やす3D DRAMの生産計画を最近検討し始めたと、関係者2人の話として報じました。
メモリ不足を受けて、NVIDIAのようなチップの設計企業は、メモリの追加の供給源を探しているとのことです。大手のメモリメーカーに増産を頼もうにも、SK hynixのDRAMとHBMは長期契約と交渉中の分を合わせて2029年まで事実上売り切れており、メモリ不足は2030年まで続く見通しです。
そのため、NVIDIAは大手で増やせない分を、自社のGPUを作るTSMCに作らせて確保しようとしているとみられます。一方、要請を受けたTSMCの側には、DRAMの製造でAI向けの支出をより多く取り込む狙いがあるとのことです。
TSMCは新工場の建設か既存工場の買収を検討。メモリ不足には間に合わない見通し
TSMCは半導体の受託製造が本業で、DRAMはこれまで作っていません。製造に向けて、新しい工場を建てるか、Micronが今年行ったように既存の工場を買ってメモリ用に作り替えるかを検討しているとのことです。
計画を率いるのは先端パッケージング担当の副社長である徐國晉氏で、2015年にTSMCからMicronへ移り、2019年にMicron台湾の会長となった後、2021年11月にTSMCへ戻った人物です。実現すれば、TSMCはサムスン、SK hynix、Micronのメモリ大手3社と競合します。
既存の工場を買う方法でも、DRAMメーカーのMicronが1月17日にPSMCの台湾・銅鑼の工場を買う基本合意を結んでから、DRAMウエハーの生産に大きく効き始める2027年下半期まで約1年半かかります。一方、TSMCはどちらの方法を取るかをまだ決めておらず、製造を始める時期も、投資額や生産量も示されていません。そのため、TSMCのDRAMで供給が増えるのは早くても2028年以降で、2030年まで続くメモリ不足とDDR5の値上がりを和らげる材料にはなりにくいとみられます。


