メモリの値上がりが続く中、SK hynixが、長期契約と交渉中の分を合わせると、DRAMとHBMは2029年までの3年分が事実上売り切れていると明らかにしました。PCやスマートフォンはその値上がりで出荷が減るものの、AI向けの需要がそれ以上に伸びるとしています。
SK Hynixはクラウド大手など14社と長期契約。2027〜2028年の生産枠は半分以上が埋まる
SK hynixは、クラウド大手などと数年分の供給を前もって約束する長期供給契約(LTA)を進めており、7月の決算説明会の時点で、主要な顧客を含む10社あまりと契約をまとめていました。そんな中、10月28日に発表した7〜9月期の決算では、PCやサーバーに使う一般的なDRAMの値上がりが続き、DRAMの平均販売単価が4〜6月期と同じく3割近く上がって、売上高と営業利益はともに過去最高、営業利益率は80%に達しました。
LTAを結んだ顧客は14社に増え、契約済みの量は2027年と2028年の生産能力全体の5割を超えており、これに顧客と交渉中の分を合わせると、DRAMとHBMは2029年までの3年分が事実上売り切れているとしています。LTAは通常5年で、手付金など契約を守らせる仕組みもあり、交渉中の分も顧客の具体的な購入計画をもとに話を進めているものとのことです。
ここまで需要が強いのは、AIへの投資が一部の大企業から一般の企業や国のプロジェクトにも広がっているためです。一方で、最先端の製造工程は技術的に難しく、新しい工場を建てるにも時間がかかるため、SK hynixは供給が需要に追いつかない状態は2030年まで続くとの見方を改めて示しています。
PCとスマホの出荷減を予想。国内のDDR5は最高値を更新
PCとスマートフォンについて、SK hynixは7月にはメモリ不足で販売が一時的に落ち込んでいるだけで、いずれ持ち直すとしていました。今回は、メモリの値上がりで原価がかさみ、供給も足りないため出荷が減るとの見方に変わりましたが、その減少をAIインフラの需要の伸びが上回るとしています。PCの出荷が減っていく中でも、国内のDDR5 32GB(16GB×2)の平均価格は7月末の約8.3万円から、10月28日には約9.3万円まで上がり、これまでで最も高くなっています。
2022〜2023年は、PCやスマートフォンの需要が落ち込んだことでメモリが余って値崩れし、SK hynixも2023年1〜3月期に大きな営業赤字を出しました。今回は同じように需要が落ち込んでもメモリが余らないため、値下がりのきっかけにはなりにくいとみられます。
新工場でも生産は一気に増やさず。DDR5は2028年にCXMTの増産で値下がりへ
SK hynixは2027年の投資を今年より大きく増やし、韓国・龍仁(ヨンイン)の新工場も2027年に本格稼働させますが、量産の拡大は需要を見ながら進め、製造装置を置くクリーンルームも段階に分けて開けるとのことです。
一方、中国最大のDRAMメーカーCXMTは、月のウエハー生産能力を2028年末に最大で今のほぼ2倍に増やす見通しです。業界では、CXMTの増産などで2028年から、PC向けのDDR5を含む汎用DRAMの価格競争が始まるとみられており、国内のDDR5もその頃から値下がりに向かう見込みです。ただ、SK hynixのDRAMは2029年まで売り切れており、メモリ不足そのものが終わるのは2030年を過ぎてからになりそうです。


