エントリー向けスマホが市場から消える。メモリだけで原価の6割超を占有

エントリー向けスマホが市場から消える。メモリだけで原価の6割超を占有

エントリー向けスマートフォンは、部材コストに占めるメモリの割合が6割に迫り、最も安い100ドル以下の機種では64%を超えました。半年前の3割程度から倍増したペースで、400ドル未満の機種は今年、出荷が22%超落ち込む見通しです。

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メモリ比率は半年で倍増でエントリー向けモデルは市場から消滅へ

世界のスマートフォン出荷は、メモリ危機を主因に2026年の落ち込みが過去最大規模になる見通しが6月時点の集計ですでに示されていましたが、市場調査会社Omdiaの最新四半期レポートは、その背景にある部材コストの内訳を明らかにしました。

1〜3月期の時点で、400ドル未満のスマホは部材コストの6割近くをメモリが占め、100ドル以下の機種に限れば64%を超えていました。半年前の2025年7〜9月期は3割程度だったため、この間でほぼ倍増した計算です。2025年12月時点ではメモリの比率は原価の15%程度とされていましたが、そこから数か月でさらに加速して今の水準まで積み上がっています。

メモリ以外の部品で吸収しようにも、格安帯はもともと原価を切り詰めた設計のため、削れる余地がほとんど残っていません。Transsion・OPPO・vivo・Honor・Xiaomiといった主要ブランドは、薄い利益率を維持するために小売価格の引き上げに動いていますが、Omdia主席アナリストのZaker Li氏は、この負担が今後さらに重くなるとみています。価格に敏感な購入層ほど値上げの影響を受けやすく、Omdiaは400ドル未満のスマホ出荷が2026年に22%超落ち込み、世界全体の出荷も12%減る要因になると分析しています。半年で3割から6割超まで一気に跳ね上がったペースを踏まえると、値上げや調達戦略の見直しといった通常の対応では追いつかず、格安帯そのものが市場から姿を消す方向に進んでいるとみられます。

400ドル以上の機種はパネル・チップの世代落としで凌ぐ

Omdiaによれば、400ドル以上の価格帯でもメモリの原価比率は同じ半年間で2倍超に上昇し、格安帯と同じ圧力にさらされています。ただし400ドル以上の市場自体は2026年に5.7%成長する見通しで、メーカー各社は表面価格を据え置いたまま、目に見えにくい部分でコストを吸収しようとしています。

具体的には、上位のLTPO有機ELパネルを一部モデルで旧世代のLTPSへ切り替え、1台あたり3〜5ドルを削減する動きが出ています。真のフラッグシップにはLTPOを温存する一方、600ドルを超える機種では原価に占めるSoCの比重が最も大きいため、1世代前のチップを流用して30〜40%のコスト削減を図る動きも広がっています。さらにミドルレンジでは、マクロレンズや超広角レンズを省いたり、撮像素子を小型化したりする簡略化も想定されています。こうした変更はスペック表の見出しには出にくく、価格が据え置かれていても中身は実質的に値上げされているケースが増えていくとみられます。

こうしたメモリ不足そのものの緩和は早くても2027年後半、本格的な正常化は2028年以降になる見通しです。韓国政府はサムスン・SK hynixと共同で1,350兆ウォン(約870億ドル)規模の10年投資計画を打ち出し、DRAM生産能力を5年で倍増させる目標を掲げていますが、新工場が稼働し始めるまでには数年単位の時間がかかります。それまでの間、メモリ容量そのものを削る動きと同じように、格安スマホは値上げと退場のどちらかを迫られ、400ドル以上の機種でも目に見えない部品の入れ替えで、メモリ高騰のツケが回り続けることになりそうです。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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