サムスンが、半導体ファウンドリー事業で新規顧客向けの供給価格を約15%引き上げたことが明らかになりました。対象は需要が集中する4nm・5nmプロセスが中心で、幅広いプロセスを一律に値上げするTSMCとは異なり、狙いを絞った値上げとなっています。
サムスンが4nm・5nmを対象に新規顧客向け価格を15%引き上げ
サムスンファウンドリーは2月の時点で、需要が集中する4nmと8nmのプロセスについて約10%の値上げを主要取引先へ通知していました。しかし、台湾の経済日報によると、この動きが新規顧客向けにさらに拡大し、4nm・5nmを中心とした約15%の値上げに加え、車載向け8nmプロセスの一部も対象に組み込まれたことが明らかになっています。
TSMCについては6月に3nmプロセスの値上げ見通しが明らかになっていましたが、実際には3nmだけでなく成熟した7nmまで含む形で、5〜10%の値上げがすでに実施されています。一方で値上げ率だけを見ればサムスンの15%はTSMCの5〜10%を上回りますが、対象は4nm・5nmと一部の車載8nmに絞られており、全プロセスで足並みを揃えるTSMCに対し、サムスンは需要が高い領域に絞って値上げ幅を確保する戦略を取っているとみられます。
なお、今回の値上げ対象は新規顧客に限られている点、既存の大口顧客に対してはTSMCほどの価格交渉力を持てていないサムスンの実情も映しています。ファウンドリー市場でのシェアは2025年第3四半期時点でTSMCの71.0%に対しサムスンは6.8%にとどまっており、既存の大口契約を値上げで揺さぶるだけの交渉力はまだ乏しいとみられます。
波及するのは車載・AI向けが中心。自作PC用CPU/GPUへの影響は限定的
サムスンの4nm・5nmプロセスは、NVIDIA向けのAI推論チップ「Groq」や車載半導体が主要な採用例で、自作PC向けCPU・GPUの大半は依然TSMC製造のため、今回の値上げが店頭価格に直結する範囲は限定的です。もっとも、2月に明らかになったNintendo Switch 2のコスト懸念が示す通り、サムスンの8nmプロセスを巡る値上げ圧力は今回の動きでさらに一段進んでおり、今回は新規顧客向けではあるものの同プロセスを採用するメーカーに対する値上げ圧力は、今後も強まっていくとみられます。


