TSMCの3nmプロセスが2026年第2四半期に月産16万〜17.5万枚へ拡大したものの、依然としてAI向け需要を満たせていないことが明らかになりました。下半期には約15%の値上げが見込まれており、CPUやGPUの価格にも波及する可能性があります。
TSMC 3nmが増産後もAI需要を満たせず、下半期に約15%値上げか
TSMCは先進プロセスをほぼ独占するファウンドリーで、3nmの月産能力を継続的に拡大しながらクラウドAI向けの注文を取り込んできました。
しかし、AIの用途がデータセンターから主権AIや企業向けAI、エッジAIへと広がり、需要の伸びが増産ペースを上回ったことで、顧客の発注待ちは解消されていません。
こうした需給の逼迫を背景に、供給網ではTSMCが下半期に先進プロセスの委託製造価格を引き上げるとの見方が出ています。会長兼CEOの魏哲家氏も株主総会でAI需要の強さを改めて強調しており、足元の需要が一時的な在庫積み増しではなく構造的なものであることがうかがえます。
ただ、この値上げは大口のAI顧客にとってはむしろ好材料との指摘もあります。価格が上がるほど資金力に乏しい発注者はふるい落とされ、逼迫した生産枠を大手が確保しやすくなるためです。
値上げはCPU・GPU価格に波及する可能性
3nmの値上げは今回が単発の措置ではなく、TSMCは3nm以下を2029年まで毎年値上げする方針を顧客に伝えています。今回の約15%もその一環で、3nmはAppleのMシリーズやIntelのArrow Lakeなどコンシューマー向けCPUにも使われるため、コスト上昇は最終製品の価格に乗ります。
すでにIntel・AMDは3月以降に消費者向けCPUを5〜10%引き上げ、第3四半期の追加値上げも計画しています。TSMCは3nmを月産18万枚規模へ増強する見通しですが、その分はAI向けが優先されるため、コンシューマー向けの供給改善には直結しないとみられます。
また、2nmへ移行するZen 6やNova Lakeの世代ではより高価なプロセスを採用するため、現行モデルに対してさらに値上げ幅が大きくなる見通しで、メモリ価格高騰と相まってPCなどの製品は今よりもさらに購入がしずらい環境が来る可能性が高まっています。そのため、もし最新世代へのこだわりがないなら、DDR5やグラフィックカードの値上げが同時に進む現状も踏まえ、必要なパーツは早めに確保しておくほうが無難です。

