AMDがAPU向けに開発している内蔵GPU「RDNA 4m」のうち、GFX1171がLinux向け描画ドライバーで正式にサポートされたことが明らかになりました。RDNA 4mの3モデルのうち、描画ドライバーへの対応が完了したのはこれで2モデル目です。
RDNA 4mの3モデルで、ドライバー対応の進み方に差が出ている
RDNA 4mの存在が表に出たのは2026年2月で、Linux向けコンパイラーにGFX1170というGPU IDが登録されたのが最初です。GFX11番台はRDNA 3系を示す識別子ですが、GFX1170はディスクリートGPUではなくAPU/SoC向けGPUとして識別されており、3月にはGFX1171とGFX1172が追加され、派生モデルを含めた展開が固まりつつありました。
Linuxでは、GPUを動かすソフトウェアが役割ごとに分かれており、これまでRDNA 4mを認識できていたのは、プログラムを変換するコンパイラーとOSの中核であるカーネルだけでした。今回はその先にある、ゲームやアプリの映像を実際に描画するオープンソースのグラフィックススタック「Mesa」がGFX1171に対応し、描画を担うRADVとRadeonSIの2つにIDが追加されています。この変更を含むMesa 26.3は年内に公開される予定です。
ただ、GFX1170のRADVとRadeonSIへの対応は2026年4月に済んでおり、GFX1171はそこから約4か月遅れでの追加になります。GFX1172については、Mesa側にまだ追加されていません。
この時間差については、AMDが実機の準備が整うのを待っていた可能性があり、後発の派生モデルはGFX1170より遅れて登場するとみられます。なお、3モデルそれぞれのCU数や動作クロックの違いは現時点では分かっていません。
3モデルは時期をずらして登場する見通し
未発表製品がLinuxのコードへ登録されるのは、発売のおよそ1年前からという傾向があります。GFX1170が2月、GFX1171が3月と登録時期が分かれ、描画ドライバーの整備も同じ順で進んでいることを踏まえると、3モデルは同時ではなく、GFX1170を先頭に順次投入されるとみられます。
2027年初頭の投入が見込まれるMedusa Pointに対し、GFX1170の登録が2026年2月に始まったことから、この時系列とも整合します。
ドライバーの公開時期を見ても、Mesa 26.3が年内に登場するため、Medusa Pointが出回る頃にはLinux側の対応が主要ディストリビューションへ行き渡っている計算になります。仮にSteamOSをベースとする携帯ゲーム機など、Linuxで動く製品にRDNA 4mが採用された場合でも、発売時点でドライバー対応が整っている可能性があります。
一方、性能面では、Mesa上のRDNA 4mはRDNA 3.5とほぼ共通のコードパスで動作し、命令セットの追加もFP8変換やWMMA(AI演算に使うマトリクス演算命令)など、AI処理向けが中心です。そのため、描画性能の底上げは限定的と考えられます。
現行APUとの大きな分かれ目はFSR 4系への対応で、AMDのRyzen担当VPであるDavid McAfee氏は、RDNA 3.5搭載の内蔵GPUへFSR 4.1を提供する計画は現時点でないとしています。ノートPCや携帯機でFSR 4系のアップスケーリングを使いたいなら、現行のRDNA 3.5搭載APUではなく、RDNA 4mを載せるMedusa Point世代を待つことになります。


