AMDのRyzen担当VP兼GMであるDavid McAfee氏が、RDNA 3.5ベースの内蔵GPUに対してFSR 4.1を提供する計画は現時点でないことを、Hardwareluxxのインタビューで明らかにしました。
RDNA 3.5ベースのAPUにFSR 4.1は現時点で計画なし
AMDは2026年5月中旬に、これまで対象外としていたRDNA 3(Radeon RX 7000シリーズ)とRDNA 2(Radeon RX 6000シリーズ)にもFSR 4.1を提供すると発表しています。提供時期はRX 7000が2026年7月、RX 6000が2027年初頭の予定で、この流れからより新しいRDNA 3.5でもFSR 4.1対応が見込まれていました。
しかしMcAfee氏によると、RDNA 3.5ベースのAPUへのFSR 4.1提供は現時点で計画されておらず、メリットとデメリットを検討した上で現状は対応しない方向に傾いているとのことです。ただし確定ではなく、将来的に提供される可能性も残されています。対象となるのはRyzen AI 300シリーズに搭載されるRadeon 890M/880M/860M/840Mなどの内蔵GPUです。
iGPUへの実装はメモリ帯域がハードルに
FSR 4はニューラルネットワークを用い、RDNA 4が備えるAIアクセラレーター(WMMAユニット)を活用しています。iGPUは同じアーキテクチャを基盤としているものの演算ユニットが少なく、使える電力も限られているため、アップスケーリングに割くリソースがGPU性能の相当分を占め、画質向上で得た分が処理負荷で相殺されかねないと考えられています。
さらに、アップスケーリング時にはメモリ帯域幅も必要になり、Radeon RX 9070 XTでは20Gbps動作のGDDR6を備えることで600GB/sを超える帯域を持ちます。一方で、Strix PointやKrackan Pointはメインメモリで使うDDR5/LPDDR5Xをビデオメモリとして使用するため、帯域幅は120 GB/sほどと少なくなっています。そのため、アップスケーラーで必要な動きベクトルや履歴バッファに必要なメモリアクセスにより通常のグラフィックス描写性能が犠牲にあるほか、アップスケーリングも効果を発揮しにくいと言う点が実装をためらわせる要因になっているとみられます。
なお、AMDは2027年以降に登場するZen 6世代からRDNA 4mと呼ばれるRDNA 3.5ベースのGPUにRDNA 4相当のFP8処理を付与したリフレッシュ版を開発していると言われているため、FSR 4をハンドヘルドやノートPCで本格的に使うにはZen 6世代のAPUまで待たなければならない可能性が高いといえます。

