Intel CEOのLip-Bu Tan氏が、メモリの新しい設計の開発を自身の重点案件として進めていることを明らかにしました。
メモリはもうコモディティではないとIntel CEO。SK hynix元CEOの起用とも結び付け
Intelは1968年の創業当初、メモリを主力とする会社で、1970年には世界初の商用DRAM「1103」を投入していますが、日本勢との価格競争で採算が悪化し、1985年にDRAM事業から撤退しました。
その後もMicronと共同開発した3D XPointを使う「Optane」で不揮発性メモリに再挑戦したものの、2022年に終息し、NAND事業も2020年にSK hynixへの売却で合意しています。そんなIntelは近年、投資先をメモリから先進パッケージングへ移しており、GoogleのAI向けチップでIntelのEMIBが採用される見通しが報じられたほか、今年6月にはSK hynix元CEOのSeok-Hee Lee氏をIntel Foundryの上級副社長に迎え、先進パッケージングやシステム統合、後工程を任せています。
そのIntelを率いるCEOのTan氏がポッドキャスト「TechSurge: Deep Tech VC Podcast」のインタビューで、メモリの新しいアーキテクチャーを探ることが自身の重点案件の1つだと述べました。CPUとメモリを積層する方法にも大きな余地があるとし、Lee氏を採用したことに触れて「自分が何を考えているかは察しがつくはず」としながらも、まだ明かす段階ではないとのことです。
もっとも、Lee氏の担当は先進パッケージングと後工程であり、DRAMの量産ラインではありません。Intelが現実的に狙えるのは自社パッケージ上にメモリを統合する形と考えられ、サムスンやSK hynix、Micronと同じようにDDR5を量産する話とは切り分けて読む必要があります。
決まっているのは検討中という事実だけ。増資の成長分野にメモリはなし
Tan氏は「メモリはコモディティ事業だから投資しない」という自身の考えが、新しい技術の登場で変わったとも明言しています。この転換が指しているのは、AI需要でメモリの利益率が跳ね上がり、供給側が納入先を選べる市場に変わったことだとみられます。実際、MicronはコンシューマーブランドのCrucialから撤退してデータセンター向けに供給を集中させており、メモリのGB単価は2007年当時の水準まで逆戻りしました。安値で薄利を競った1985年の撤退当時とは、市場の前提が逆転しています。
ただ、今回明かされたのは検討しているという事実だけで、製品の形や時期、投資規模への言及はありません。8月に200億ドルで価格決定した公募増資でも、Intelが成長機会として挙げたのは物理AI・用途特化シリコン・先進パッケージング・外販ウェハーの4分野で、メモリは含まれていません。
現在の逼迫は2027年のメモリ供給枠がすでに完売している段階まで進んでおり、これから検討し、実際にメモリや関連製品の量産につなげても、需給が厳しい期間に間に合う時間軸ではありません。加えて、Intelがかつてコモディティ化による収益低下で撤退したDRAMやNANDへの再参入は、技術水準が当時から大きく変わっているため、技術的な難易度に加え、巨額の投資が必要となるため投資家など市場を説得することは容易ではないとも言え、再参入のハードルは相当高いと考えられます。

