SK hynixが中国・大連のNANDフラッシュ拠点に第2工場を建設し、現地の生産能力を約1.5倍へ引き上げることが明らかになりました。量産開始は2027年前半の見通しです。
大連第2工場は4年ぶりに工事再開。増える能力は企業向けSSD用の成熟NAND
SK hynixは2021年にIntelのNANDフラッシュ事業の買収を完了し、買収した事業を独立企業「Solidigm」として発足させ、大連の第1工場と敷地を引き継ぎました。翌2022年5月には第2工場を着工しましたが、メモリ不況と米国の対中半導体製造装置規制が重なり、骨組みだけが建った状態で工事が止まっていました。
しかし、NVIDIAのRubin世代では1台で9,600TBのNANDを積むストレージラックが投入されるなど、GPUサーバーとは別にNANDを大量消費する製品も加わり、AIデータセンターで使われる企業向けSSDの需要が急拡大しています。
こうしたなか、韓国紙ソウル経済新聞によると、Solidigmは今年上半期から大連第2工場への投資を再開し、建設工事も再開しています。早ければ11月から生産装置の搬入を始め、2027年前半に量産体制を整える計画とのことです。新ラインのウェハー投入能力は月4〜6万枚で、既存の第1工場が持つ月10万枚と合わせると、大連の生産能力は月15万枚前後へ拡大します。業界関係者によると、新ラインは第1工場と同一の装置構成とする計画ですが、工事凍結の一因だった対中装置規制をどう扱うのかは示されていません。
ただ、同社は拠点ごとに生産する製品を分けており、大連の両工場が担うのは企業向けSSDなどに搭載される大容量NANDです。先端の高積層NANDは、韓国・清州にある工場「M17」を中心とした韓国側の拠点が受け持ちます。加えて、Solidigmは2025年にコンシューマー向けSSDから撤退しており、大連で増える生産能力が店頭のコンシューマー向けSSDへ直接回るわけではありません。
その大連で生産の中心となるのは、Intel由来の成熟技術であるフローティングゲート方式を採用した100層級NANDになる見通しです。生産性を高めやすい一方、300層以上の高積層NANDに比べるとウェハー1枚から取り出せる容量は小さくなります。このため、ウェハー投入枚数が1.5倍になっても、NANDの供給量がそのまま1.5倍になるわけではないとみられます。
国内のSSD価格に効いてくるのは2027年後半以降
国内の2TB NVMe SSDの価格中央値は、年初の約37,080円から上昇を続け、6月上旬には約64,240円のピークに達しました。その後は6万円前後での横ばいが続いており、8月11日時点でも約59,193円と、年初比で約1.6倍の高値圏から抜け出せていません。
この高止まりが崩れる目安となるのが、NANDの需給が2027年後半にプラスへ転じるとの予測です。この予測では、韓国勢による既存ラインの改良と選択的な増産が供給側の前提となっており、大連第2工場も量産時期が重なる具体的な増産案件の一つと考えられます。
ただ、2027年後半から需給が改善するという予想は、増産体制が計画通り進み、2027年前半には量産が立ち上がることに加え、需要が現状から増えないことが前提です。加えて、大連の増産分が国内の店頭価格へ効いてくるのは、企業向け需要を満たした後とも考えられるため、SSD価格が落ち着くには1年以上の時間が必要になりそうです。


