メモリ不足が続く中、OpenAIのSam Altman CEOが、DRAMを誰もが自分のPCに積んでおくのは「かなりひどい」と語りました。PCではDRAMがほとんど活用されておらず、クラウドに集めて使い切る方が良いという背景のようです。
AIをPCで動かしたい人は多いが、DRAMはクラウドに集めるべきとAltman氏
AIデータセンター向けの需要に押され、国内のDDR5 32GB(16GB×2)の平均価格は10月30日時点で約9.2万円と、2025年11月の2倍以上に上がっています。
そんな中でOpenAIのCEOであるSam Altman氏は10月29日に公開されたポッドキャスト「Cheeky Pint」で、オープンソースのAIモデルを自分のPCで動かす「ローカル推論」を望む人は多いとしたうえで、世界全体の配分で見れば、DRAMを誰もが自分のPCに積んでおくのは「かなりひどい」と述べています。そう考えるのは、PCのDRAMは時間の5%ほどしか使われていないためで、供給がここまで限られている以上、多くの人の直感には反しても、クラウドに集めて使用率を最大まで上げたいとのことです。
メモリメーカーは稼いでも増産に慎重。PC向けDRAMは2027年も後回しに
Altman氏は供給が増えない理由について、価格が上がれば供給も増えるという市場の仕組み(見えざる手)が今は働いていないとしています。メモリメーカー各社は年に1,000億ドル(約16兆円)ほどの現金を生むようになっても、工場を作りすぎた過去を覚えているため増産に慎重だとのことです。2022〜2023年にはPCやスマートフォンの需要が落ち込んでメモリが余り、値崩れでSK hynixも大きな営業赤字を出しました。
そのSK hynixは、韓国・龍仁(ヨンイン)の新工場を2027年に本格稼働させますが、量産の拡大は需要を見ながら進め、クリーンルームも段階的に開ける計画です。2027年と2028年の生産能力は、すでに5割超が14社との長期供給契約で埋まっており、OpenAIも2025年10月に、AIデータセンター計画「Stargate」向けのメモリ供給でサムスン、SK hynixと基本合意を結んでいます。Altman氏が言うDRAMのクラウドへの集中は、契約の上ではもう進んでいるとみられます。
DRAM全体の出荷は2027年も2割余り増える見込みですが、メモリメーカーがサーバー向けに生産能力を回すため、PC向けの供給は減るとTrendForceは予測しています。大手PCメーカーは必要な量を契約で確保済みで、減る分のしわ寄せは自作や増設向けのDDR5に向かうと考えられます。
Altman氏は、データセンターのコストを下げるには供給を大きく増やすしかないとしていますが、DRAMの供給が大きく増えるのはCXMTの増産と大手の新工場の生産が効いてくる2028年からと言われています。PC向けのDDR5が値下がりに向かうのも早くてその頃からで、それまではPCのメモリよりデータセンター向けが優先される状態が続きそうです。


