メモリ価格をつり上げるため供給を人為的に絞ったとして、サムスン、SK Hynix、Micronの3社を相手取った集団訴訟が2026年6月25日、米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提起されました。反トラスト法に基づく訴えで、原告となった消費者やPC事業者は3社に損害賠償を求めています。
メモリ高騰への不満が集団訴訟に発展
メモリ価格は、AIサーバー向けの需要が汎用DRAMを吸い上げる構図で過去最高水準まで上がっています。値下がりが始まるのは2028年以降になるとの予測もあり、PCを組む側の負担は膨らむ一方です。
今回はその支払いを強いられてきた消費者やPC組み立て事業者が原告となり、3社が供給を意図的に絞って価格をつり上げたと申し立てています。
ただ、3社はいずれも増産に向けた新工場や生産ラインの建設を進めていると説明しており、供給を絞っているという見方には反論の余地があります。今回の不足は、かつての価格カルテルとは事情が異なります。
2005年のDRAM価格カルテル事件との違い
今回の被告3社には、2005年前後にDRAM価格カルテルで米司法省に摘発された経緯があります。なかでもサムスンは1999〜2002年の価格操作で3億ドルの罰金を科され、有罪を認めました。ただ当時は談合による価格操作が立証されましたが、今回はAI需要と言う実需が伴ってDRAMが不足しており、供給不足が現実に存在する以上、「人為的に絞った」と立証するのは当時以上に厳しいとみられます。
訴訟の行方とは別に自作PCユーザーが値下がりの恩恵を先に受けることはまずありません。クラウド大手が2027年以降の供給まで長期契約で押さえているため、コンシューマー向けに回るのは残った分だけで、優先順位はかなり低くなっています。また、仮に「人為的に絞った」など主張が認められたとしてもメモリ価格が突如下がることは考えにくいため、訴訟がメモリ価格に与える影響は皆無と言えます。

