Intelが、1.4nm世代プロセス「14A」の改良版「14A2」で、チップの裏面だけでなく表面からも電力を送る新構造の採用を検討していることが明らかになりました。配線をさらに細くしてトランジスタ密度を引き上げるために必要な変更で、TSMC・サムスンとの1.4nmに向けて競争力の上乗せを狙っているようです。
14A2は微細化で足りなくなる電力を表面の配線で補う設計に
IntelはTSMCのN2/A14やサムスンのSF2Zに対抗するため、チップ裏面から電力を送る技術「PowerDirect」を採用するIntel 14Aを開発中ですが、その後継として配線間隔を現行の28nmから21nmまで詰めた改良版「14A2」の開発が進められていると、韓国紙ETNewsは伝えています。しかし、ここで壁になるのが電力供給で、配線をここまで細くすると電気抵抗が急増して電圧の低下(IRドロップ)が深刻になり、裏面からの配線だけではトランジスタに必要な電流を送りきれなくなるとされています。
14A2は前面給電も追加へ
この電力不足を補うためにIntelが検討しているのが、裏面給電を主としつつ、表面の配線の一部を補助的な電力供給やクロック信号に充てる複合構造です。これで電力の壁を越えられれば21nmへの微細化が成立し、同じ面積により多くのトランジスタを積めるため、性能とチップあたりのコストの両面で競合の1.4nmプロセスに並ぶことを目論んでいるとのことです。ただし、配線構造が複雑になる分、設計や製造の難易度は確実に上がり、Appleが18A世代のPowerViaを放熱面の制約からiPhone向けに見送ったとされる経緯を踏まえると、放熱や信号品質にも新たな制約を持ち込む可能性があります。
TSMC・サムスンより一歩遅れたスケジュールの挽回を狙う
Intel 14Aは2028年に試験生産、2029年に量産と言うスケジュールで開発が進められていますが、競合陣はTSMCが2026年にN2の量産を開始しているほか、サムスンも裏面給電を組み込んだSF2Zを2027年にも量産予定としています。そのため、Intelは競合に対して2~3年程度遅れを取っている状況です。そのため、まだIntel 14Aの開発完了がしていない中で競争力を積み増すために今回の14A2が計画されたと見られています。
ただし、業界関係者によると「Intelは20A/18AでGAAと裏面給電を同時に持ち込んだため歩留まり確保に苦しんでいるが、サムスンは検証済みのGAA構造に裏面給電だけを足す分、技術的なリスクはずっと低い」としており、Intel 14Aでの微細化に加え、14A2向けで構造が複雑化することから量産初期の歩留まりに新たなリスク要因を積み増す懸念があります。
IntelはAMDとNVIDIAはサーバー向け製品での14A採用を検討していると伝えられ、NVIDIAのFeynman世代GPUについても外部委託先としてIntelの名前が挙がっています。ただ、こうした大口顧客が実際にIntelプロセスを採用するかは歩留まりや量産スケジュールの見通し次第と言え、この追加実装が吉と出るか凶と出るかは今後の開発状況次第となります。


