TSMCが2027年初から、先進・成熟の両方のプロセスを対象に、受託製造価格を最大10%引き上げる見通しであることが判明しました。AI・高性能演算向けで当初の計画を超える追加発注には、さらに10〜15%が上乗せされるとのことです。
TSMCが2027年初に両プロセスを最大10%値上げ、AI向けには上乗せも
TSMCはAI需要の拡大を背景に受託製造価格の引き上げを重ねてきましたが、日経アジアが複数の関係者への独自取材で伝えたところによると、次の値上げに向けた顧客との交渉は6月頃に始まり、7月にはすでに妥結しているとのことです。背景には、材料費や半導体製造装置、海外新工場の建設コストの上昇があるとされています。
値上げ幅は基本で5〜10%と顧客や製品によって異なり、最先端プロセスだけでなく成熟プロセスも対象に含まれると報じられています。新規顧客向けに値上げを進めるサムスンが需要の強い4nm・5nmへ対象を絞り込んでいるのとは対照的で、TSMCは幅広いプロセスから一斉に値上げ分を確保しにいく戦略です。
さらにAI・高性能演算(HPC)向けでは、顧客が当初の計画を超えて追加発注する分に対し、基本の値上げ幅に10〜15%を上乗せして課金するとされています。AI需要の逼迫をそのまま価格へ転嫁する仕組みのため、NVIDIAやAMDのようにAIアクセラレータを大量発注する大口顧客ほど負担が重くなり、TSMCはAI特需を価格面でも取りにいく姿勢とみられます。
下半期の3nm値上げに続く。次世代CPUやGPU価格にも影響?
今回の2027年発効分とは別に、TSMCは下半期に約15%と報じられた3nmの値上げもすでに進めており、値上げは単発ではなく、連続して行われています。特に、今回の値上げは先進プロセスだけでなく成熟プロセスまで広がった点が下半期分との大きな違いで、TSMCの値上げは一部の最先端チップに限った話ではなくなりつつあります。
こうして積み上がるウェハー価格はチップ設計企業の製造原価に反映され、最終的にCPUやGPUの価格へ間接的に波及します。特に、もともとの製造コストが高い3nmや2nmなどの先進プロセスを使う製品では値上げの影響が大きく、2027年以降に発売予定のAMD Zen 6世代やIntel Nova Lake CPUでは2nm、PlayStation 6(PS6)では3nmプロセスを使うと言われているため、次世代製品の価格高騰につながる動きとも言えます。


