「AIで在宅収益が得られる」とうたい、ミニPCを高額で販売する新手の詐欺が中国で出始めているようです。主な標的は子育て中の専業主婦で、販売されている機器はAIの演算能力を持たない旧型機のようです。
「AI収益マシン」と称する機器を買わせる詐欺が中国で発生中
「家庭用のAI計算マシン」と称するデバイスを、「外出不要・在庫不要・24時間自動で収益」という売り文句で子育てコミュニティや主婦向けのショート動画などに掲載し、金銭をだまし取る詐欺手口が中国で出回り始めていると、中国メディアの快科技が報じています。


この「家庭用のAI計算マシン」の中身は高性能GPUを搭載したものではなく、原価数百元(日本円で1万円前後)の型落ちミニPCや産業用PCで、10年ほど前の世代のプロセッサとDDR3メモリしか搭載していないとのことです。この構成ではAIモデルの学習はもちろん、計算資源の貸し出し業務も担えず、家庭のノードとして高収益を生むことは物理的にあり得ません。しかし、詐欺集団はこれらのデバイスを1個2000〜3000元(約5万〜7万円)で販売しているとのことです。
収益面のアピールでは、「毎日一定額の収益を保証」「1年で元が取れる」などとショート動画で紹介しており、新規購入者の代金から既存ユーザーへ少額を還元し、利益が出ているように見せる典型的なポンジ・スキームの構造とされています。加えて、「計算能力のアップグレード」「上位プランへの拡張」を口実に追加購入を迫り、さらに金銭を巻き上げる手口も確認されているとのことです。
今後「AI向け計算リソース提供」のような詐欺手口が多数登場する可能性も
この手口は目新しいものではなく、かつての「マイニングボックス」や「帯域を貸して稼ぐ」型の詐欺に、AIという新しい皮をかぶせた焼き直しです。
今後はAIの計算資源不足に乗じて、「自宅の計算資源を貸し出せば稼げる」と称するサービスが増えてもおかしくありません。しかし、仮想通貨のマイニングは独立したノードと低帯域通信でも成立するのに対し、AIの学習には一定水準以上のGPUやVRAM、高速かつ安定した回線、長時間の稼働率に加え、大規模AIモデルの分散学習ではアクセラレーター間を高帯域かつ低遅延で接続することが重要で、一般家庭の回線を介して接続するだけでは、データセンターのような学習環境を構築できません。
そのため、旧型CPUや少容量のメモリを搭載した安価なミニPCを家庭回線につなぐだけで、毎日一定額の収益を得られるという説明は、技術的にも経済的にも不自然で数万円程度のミニPCを購入させ、「AI向けの計算リソースを提供して収益を上げられる」とうたうサービスが登場しても、ほぼ確実に詐欺といえるため、注意が必要です。


