Arrow Lake 発表が2025年に延期？ 9月開催のIntel Innovationが財政事情で延期に

Arrow Lake 発表が2025年に延期？ 9月開催のIntel Innovationが財政事情により延期

Intelはデスクトップ向けの新世代CPUとして『Arrow Lake』の投入を計画しており、このCPUの発表を同社の新製品発表会である『Intel Innovation 2024』で行うと見られていました。このイベントでは過去にAlder LakeやRaptor Lakeなど、同社にとって重要なCPUの新製品発表や、サーバー・データセンター向け製品のロードマップを発表するなど、Intelにとっては年に一度の大イベントとなっています。

しかし、Intelは2024年9月末に開催予定だったこのIntel Innovation 2024を、2025年まで延期することを参加予定だった関係者に向けて案内していることが明らかになりました。

開催延期の理由について、案内には詳細が記載されていませんが、PCMagがIntelに問い合わせたところ、以下のような返答がありました。

2024年後半の業績見通しが当初の予想よりも厳しい状況であることを受け、プロセス技術のリーダシップを得るという目標に向けて、コスト構造の見直しなどにより、今回のような困難な決断を下さざる得ませんでした。

イベントのサポートや参加にご協力いただいたパートナー、スポンサー、出展者、開発者コミュニティ、そして私たちの大規模なチームに対し、心より感謝の意を表します。

Intel via PCMag

Intelの2024年第二四半期決算は市場の期待を下回り、コンシューマー向け製品やサーバー・データセンター向け製品の売上が減少し、ファウンドリー事業では大赤字を出すなど、株価が大きく下落しています。また、2024年第三四半期の業績予想も厳しく、Intelは従業員の15%にあたる15,000人の解雇を含むコスト削減を進めています。

そのため、ユーザーや投資家にとってアピールの場となるはずのIntel Innovation 2024も、大規模で高額な会場を借りてイベントを開催する財政状況ではないと判断され、延期が決定されたようです。

これにより、IntelのArrow Lakeの2024年発表が流動的になり、発売時期も当初予定されていた10月ごろからずれ込む可能性があります。特に、Arrow Lakeは主力製品であるため、プレスリリースだけで発表するのは考えにくいです。

しかし、Intelの財政状況や社内事情から独自にイベントを開催するのは難しい状況です。仮に発表するとすれば、出展するイベントの基調講演で発表する可能性が高いですが、直近でIntelが出展予定のIFA 2024では既にLunar Lakeの発表が予定されているため、Arrow Lakeの発表を加えるとメディアへの露出が分散してしまう懸念があります。また、Raptor Lake系の不具合も完全には解決していないため、タイミング的にも好ましくないでしょう。

一方で、IFS 2024の後にある大規模なイベントは2025年1月開催のCES 2025になります。そのため、Intelが年内に小規模な独自イベントを開催できない場合、CES 2025でArrow Lakeのデスクトップ向けおよびノートPC向けを一斉に発表し、まもなく発売される可能性が高いと予想されます。実際、過去のAlder LakeやRaptor LakeにおいてもノートPC向けモデルはCESで発表されており、Intelにとって稼ぎ頭はノートPC向けCPUであることを考えると、このような発表形態を取っても不思議ではありません。