LenovoはISC 2026の講演で、DRAM/NAND価格は2028年以降に新たな生産能力が立ち上がっても2024〜2025年の水準には戻らないとの見方を示しました。2030年以降に落ち着く「新たな正常値」も従来比で高い水準で推移する見通しです。
DRAM/NAND価格は2030年以降も従来水準に戻らない見通し
メモリ価格の長期見通しを巡っては、これまで2027〜2028年にかけての正常化を予測する見方が中心でした。直近ではAMDのクライアント向けCPU/GPU事業を統括するDavid McAfee氏が2026年6月に、DDR5価格の正常化には2028年頃まで2年程度かかると述べたことで、メモリメーカー以外のプラットフォームベンダーからも同様の見立てが示された格好です。
しかしLenovoは、スーパーコンピュータの国際会議「ISC 2026」での講演で、2028年以降に大規模な生産能力が立ち上がることを織り込んでもなお、価格は2024〜2025年の水準には戻らないとの見方を示しました。発言では「一切ない(never)」という強い表現は強調のために用いられており、向こう5年以上を念頭に置いた発言ですが、2030年以降に定着するであろう「新たな正常値」も2024年や2025年と比較して高い水準で推移するとの見立てです。
SK Hynixの生産能力3倍化計画は需要持続を示唆
Lenovoの見立てを補強する材料として、SK Hynixが2034年までに生産能力を3倍に拡大する計画を発表していることが挙げられます。ComputerBaseのVolker Rißka氏は、もし2028年や2030年に低価格水準や赤字が見込まれているのであれば、SK Hynixがここまで大規模な増産計画を打ち出すことは合理的ではないと指摘しています。逆にいえば、SK Hynixの投資判断はその時期にも需要が継続することを前提としているとみられます。
SK Hynixの親会社であるSKグループの崔泰源会長も、メモリ供給不足は2030年まで業界全体で20%以上の規模で継続するとの見通しを示しており、買い手側のLenovoと供給側のSK Hynixの見方は時間軸の面で整合しています。崔会長は供給不足の解消にウェーハ確保で4〜5年を要すると説明しており、増産による即時の価格反落は見込みづらい状況です。
自作PC用DDR5にも価格は高止まり
サーバー向けDRAMと自作PC用DDR5は同一のファブで製造されるため、Lenovoが指摘する高値維持はコンシューマー向け市場にも同様の影響を及ぼすと考えられます。AMDの見立てが2028年頃の正常化を示すのに対し、Lenovoはその先の2030年以降を含めても2024年水準への回帰はないと述べており、自作PC市場でもかつてのメモリ価格まで戻ることは見込みづらい状況です。
実際、国内では2026年1月にDDR5 32GB(16GB×2)の店頭平均価格はピークアウトしたものの、3月以降の平均価格は約8万円前後で高止まりが続いており、高騰前の2万円レベルの水準から大きな差があります。これがLenovoの予測どおりに推移した場合、今後数年間はこの価格帯がDDR5の新しい基準になる可能性が高く、買い替えを検討しているユーザーは高騰前の水準への戻りを待つよりも、現状の価格帯を基準に判断を組み立てる必要が出てきそうです。

