Radeon RX 9070 XT の評価は高め。 もうGeForce RTX 5070 Ti を買う理由はなし？

Radeon RX 9070 XT の評価は高め。 もうGeForce RTX 5070 Ti を買う理由はなし？

AMDは次世代GPUアーキテクチャーのRDNA4を採用するRadeon RX 9070シリーズを2025年3月6日に全世界で発売し、日本では3月7日11:00より発売予定と言われています。そんなRadeon RX 9070シリーズの内、上位モデルでNVIDIAのGeForce RTX 5070 Tiに対抗するRadeon RX 9070 XTのレビューが解禁されましたが、非常に低い評価だったNVIDIAのGeForce RTX 5070 Tiとは全く異なり、性能そしてコストパフォーマンス共にかなり高い評価を獲得していることが明らかになっています。

グラフィックスカード モデル	Radeon RX 9070 XT	Radeon RX 9070
内蔵GPU	Navi 48	Navi 48
クラス	アッパーミドル	アッパーミドル
Compute Unit	64	56
Streaming Processors	4096	3584
ベース クロック	2.40 GHz	2.07 GHz
ブースト クロック	2.97 GHz	2.52 GHz
VRAM仕様	20Gbps GDDR6	20Gbps GDDR6
VRAM容量	16GB	16GB
Infinity Cache	64MB	64MB
バス幅	256-bit	256-bit
帯域幅	640 GB/s	640 GB/s
TGP	304W	220W

Radeon RX 9070シリーズでは上位のRadeon RX 9070 XTと下位のRX 9070共にNavi 48 GPUを採用していますが、RX 9070 XTは64コアすべてのCompute Unit (CU)が有効化され、動作クロックも最大2.97 GHzとかなり高めに設定されています。VRAMは20GbpsのGDDR6を256-bitのバス幅で搭載され、容量は16GB、帯域幅は640 GB/sとなっているほか、Infinity Cacheも64MB搭載しています。

Hardware Unboxedのレビューでは1440p解像度でのラスタライズのみ使用した環境では競合のGeForce RTX 5070 Tiに対してRX 9070 XTは平均で6%ほど劣る結果でRTX 4070 Ti SUPERに対してはほぼ同等性能を記録しています。また、4K解像度では差は縮まり、RTX 5070 Tiに対して1%劣るレベルにまで抑えられており、GeForce RTX 4070 Ti SUPERを7%上回る結果を叩き出しています。

AMDのRadeonシリーズは今までレイトレーシング関係の性能はNVIDIAのグラフィックカードに対して2世代程度劣る性能でしたが、RDNA4ではレイトレーシング関係のコアを一新していることから大幅な性能向上が記録されています。1440p解像度での結果ではRX 9070 XTはRTX 5070 Tiに対して21%とかなり大きく劣ってはいますが、GeForce RTX 5070並みの性能を記録しているほか、先代のRadeon RX 7900 XTXに対して26%高い性能を記録するなどNVIDIAに対して1世代遅れぐらいまで差を詰めてきています。

4K解像度でのレイトレーシングも同様で、RTX 5070 Tiとの差は25%と小さくありませんが、RX 7900 XTXより27%優れた性能を発揮しており、NVIDIAのグラフィックカードで言うとRTX 5070かRTX 4070 SUPERレベルになっています。

ただ、レイトレーシングに関してはタイトルによってばらつきがかなり大きいようで、Tom’s Hardwareが行ったベンチマークでは4K解像度ではRX 9070 XTはRTX 5070に対して13%しか劣っていないなど差があり、ドライバーや各タイトルがRadeon RX 9000シリーズに対して最適化を行えば10%程度の差にまで縮まるかもしれません。

レイトレーシングで言えるのは現状、Radeon RX 9070 XTの性能はRTX 5070 Tiに対して劣っているのは確実で、レイトレーシングだけを考える場合は現状はRTX 5070 TiなどRTX 5000シリーズを選んだ方が良いと言えそうです。

消費電力はRadeon RX 9070 XTはかなり高めで、Radeon RX 9070 XTは最大298Wを記録しており、RTX 5070 Tiに対して性能が数%ほど劣るも10Wほど高い消費電力になっています。そのため、電力効率と言う観点ではRTX 5070 Tiの方が優れていると言えそうですが、その差は僅かであるほか、RX 9070 XTは旧来のPCIE 8pinを採用するグラフィックカードが多いため、消費電力についてそこまで心配する必要はないと言えそうです。

ここ最近発売されたNVIDIAのグラフィックカードでは先代モデルに対してコストパフォーマンスが大きく悪化していたことが酷いレビュー結果の原因になっていました。しかし、Radeon RX 9070 XTではコストパフォーマンスが消費者の期待に応えられた内容になっています。

Radeon RX 9070 XTはメーカー希望小売価格（MSRP）が$600に設定されており、競合のRTX 5070 Tiの$750に対してかなり安価で、コストパフォーマンスで比較すると15%ほど優れています。ただ、RTX 5070 Tiに関しては$750は”Fake MSRP”、通称アリバイ価格で実際の販売価格は$900程度になっています。この価格を基にコストパフォーマンスを計算するとRadeon RX 9070 XTはRTX 5070 Tiに対して29%優れたコストパフォーマンスになるため、レイトレーシングなどで劣るものの総合的に見るとかなり高い競争力を持ったグラフィックカードであると言えます。

GPU	1FPSあたりのコスト	FPS	販売価格
Radeon RX 9070 XT (定価)	1605円	74	118,800円
GeForce RTX 5070 Ti (実売最安値)	2152円	79	170,000円
GeForce RTX 5070 Ti (アリバイ価格)	1884円	79	148,800円

Radeon RX 9070 XTの国内販売価格はまだ明らかにされていませんが、RTX 5070 Tiなどで見られていた$=180+消費税と言う計算を適用するとRX 9070 XTの$600は日本では118,800円ほどになります。そのため、この価格を前提に日本国内での販売価格を基にコストパフォーマンスを計算するとRadeon RX 9070 XTはRTX 5070 Tiのアリバイ価格に対しても15%優れています。ただ、RTX 5070 Tiに関しては多くのモデルが17万円前後で販売されているため、この実売価格で計算すると25%ほど優れたコストパフォーマンスを発揮しているためレイトレーシングや消費電力の高さなどはRTX 5070 Tiに対して劣っている点ですが、25%も高い価値があるかと言われると微妙で、日本でもRX 9070 XTの競争力は相当高いと言えそうです。

なお、競争力がどれだけ高くても在庫が無ければ意味がないのですが、Radeon RX 9070 XTの在庫状況は海外からの情報によるとかなり良いとのことで、RTX 5000シリーズ全モデルの入荷数を発売日時点で上回っているとも言われています。と言うのもRX 9070 XTは当初の予定では2025年1月末に発売されると言われていたため、量販店や代理店側には在庫が多く積み上げられた状態になっているとのことです。そのため、RTX 5000シリーズのように購入が困難になる可能性は極めて低いと言えそうで、アッパーミドルレンジクラスのグラフィックカードを求める人にとってはRX 9070 XTは救世主とも言える存在になりそうです。

現時点でRadeon RX 9070 XTとRX 9070は3月7日（金） 11:00から発売されると言われていますがグラフィックカードが枯渇しているという話が先行して想定以上の人気が集中する可能性もあります。そのため、各量販店では転売ヤーなどを警戒して発売日の段階では即日販売は行われずWEB応募形式の抽選販売が行われる可能性がある点は購入検討する際に注意する必要がありそうです。