中国のDeepSeekが、小型のAIモデルによる推論をゲーミングGPUへ移し、高性能なAI GPUを新モデルの学習に回す取り組みを進めていることが明らかになっています。
DeepSeekは推論にゲーミング用GPUを利用。高性能GPUは学習に回す
DeepSeekのモデルはAI GPUの数分の一の価格で済むゲーミングGPUでも動かせるため、2025年には中国のテック企業がNVIDIAのゲーミングGPUを闇市場で買い求め、需要が急増したとチップの密輸業者が証言していました。同じ年の7月には、密輸したGeForce RTX 5090をAIサーバー向けに改造する中国の工場の内部も動画で伝えられており、ゲーミング用のカードからGPUとGDDR7を取り外してサーバー向けの基板へ載せ替えていました。
そんな中、The Informationによると、DeepSeekの梁文鋒CEOは最近の投資家向け会合で、計算資源の7割以上を新モデルの学習に割り当てており、学習済みのモデルを動かして質問に応答する推論に回しているのは3割未満にとどまると説明したとのことです。一方でこの推論の需要は強く、8月にAPI料金をモデルや時間帯に応じて最大4.5倍に引き上げたあとも、顧客は減っていないとしています。
そのため、DeepSeekは計算資源を節約するため、パラメーター数を抑えた小型モデルをゲーミングGPU上でより多く動かし、高性能なAI GPUは引き続き学習用に確保する考えを明らかにしています。梁氏によると、社内テストでは小型モデルは一般向けのゲーミングGPUでも安定して動作し、日常的なタスクの大半を処理できたとのことです。
使うGPUの型番は非公表だがRTX 5090が最有力
DeepSeekが使うゲーミングGPUの型番は明かされていませんが、推論タスクでは大容量のVRAMが有利で、候補としては32GBのGDDR7を搭載するRTX 5090が挙げられます。ただ、RTX 5090は米国の対中輸出規制によって中国へは正規に出荷されておらず、中国専用のRTX 5090 D2はVRAMが24GBに減らされており、海外で販売されているRTX 5090よりAI処理性能も低くなっています。
そのため、中国では32GBのRTX 5090を新たに揃えるには海外で小売された製品を持ち込むほかなく、MSIも2025年10月の声明で、中国で流通するRTX 5090の大半は海外の店頭で販売された製品が並行輸入で持ち込まれたものだとしています。HKEPCが公開した写真にも、中国の業者がMSI製やGIGABYTE製のRTX 5090を小売箱のままパレット単位で買い集め、サーバーラックへ挿していく様子が写っており、DeepSeekが推論に使うGPUにもこうした非正規ルートで持ち込まれたRTX 5090が含まれている可能性があります。
なお、RTX 5090を巡っては世界的に在庫が枯渇しており、日本国内においても9月11日に在庫のある製品がゼロになり、13日に再入荷したあとも在庫のある製品数は15日の5つから24日には1つまで減り、最安値も97万9,800円と100万円近くのままです。
中国の業者が各国でRTX 5090を買い集めているとされており、DeepSeekのような大手まで推論をゲーミングGPUへ移す動きが広がれば、海外の小売市場から吸い上げられるRTX 5090はさらに増えるため、国内の在庫状況と価格が落ち着くまでには時間がかかると考えられます。また、今後RTX 5090が手に入らなくなれば、次にVRAM容量の大きいRTX 5080やRTX 5070 Tiなどもターゲットにされる可能性があるため、VRAMが16GB以上のグラフィックカード購入を考えている場合は、値下がりを待って先送りするより、早めに購入に進んだ方が良い状況と言えます。


