Galaxy Z Fold 8の品薄が長引いている原因は、画面の表示を制御する駆動チップの調達難にあることが明らかになりました。サムスンは来年の開発用に確保していた分まで量産へ回し、需要に応えようとしています。
Galaxy Z Fold 8の品薄の原因は画面駆動チップ。UMCの生産能力が限界に
Galaxy Z Fold 8は、サムスンが2026年7月下旬に発表した折りたたみスマートフォン3機種のうち標準にあたるモデルで、折りたたみ時はパスポート大、開くと4:3比率の画面になる新形状を採用しています。この新形状が支持された結果、生産量をUltra比で40%増やしても在庫不足に陥っていたほか、韓国の事前予約144万台のうち約7割を占めるなど需要が集中し、日本の公式オンラインショップでも8月上旬時点で発売日分の在庫がなくなるなど出荷の遅れが続いてきました。
韓国メディアのZDNet Koreaによると、サムスンはZ Fold 8向けの部品発注量を当初の想定より増やしていますが、複数の部品のなかでもディスプレイドライバIC(DDI)の調達が特に厳しいとのことです。このDDIはサムスン電子のシステムLSI事業部が設計し、台湾のファウンドリー(受託生産)企業UMCが22nm工程で製造を担当しています。
しかし、業界関係者によるとUMCの22nm工程の生産能力はすでに限界に達しており、サムスンが急行生産にあたる「スーパーホットラン」での生産を要請したものの、UMC側は難しいと回答したとされています。同じ22nm工程では他の半導体も生産されているため、Z Fold 8向けの順番を上げるには他製品の生産計画まで組み替える必要があり、UMC側で生産を前倒しするのは難しいようです。
他の機種から融通できず、来年の開発用在庫を量産へ回す
UMC側で生産速度を上げられないうえ、DDIは機種ごとの専用品として設計されるため、折りたたみ3機種の間で部品を融通することもできません。LPDDRのようなDRAMは汎用品のため、不足したモデルへ他モデル分を優先配分できますが、DDIは当初確保した生産能力と生産速度に縛られます。実際、Z Flip 8の需要は想定を下回っており、逼迫しているのはZ Fold 8向けだけで、折りたたみ全体が売れているというより新形状のモデルに需要が集中しています。
DDIを新たに生産しようにも、通常速度の「ノーマルラン」ではウエハーを投入してからチップが出来上がるまでに約4か月を要します。そのためサムスンは、すでに確保している在庫を最大限使うのに加え、来年の開発用に確保していたDDIまでZ Fold 8の量産に向けて優先的に投入する予定とされています。なお、ヒンジやカバーウィンドウに使うUTG(ウルトラシンガラス)関連の部品についても、発注量を増やして増産に備えています。
一方で、来年(2027年)の開発向けに確保していた分まで量産へ回す以上、2027年に横長モデルを2機種へ増やす計画を進めるGalaxy Z9世代の開発日程には、しわ寄せが出る可能性があります。
Galaxy Z Fold 8を狙っているなら、チップが出来上がるまでだけで約4か月かかるうえ、UMC側の増産余地も乏しいため、年内の供給上積みは限定的にとどまるとみられます。色や容量の希望を通そうとするほど待たされる状況が続くため、希望条件にこだわらず、在庫が戻ったタイミングで確保してしまうのが得策です。


