GeForce RTX 5000シリーズはRTX 4000シリーズと同じ5nm系プロセス採用
NVIDIAは2024年3月19日に開催されたGTC 2024にてサーバー・データセンター向け製品として投入されるBlackwell GPUシリーズを発表しました。
このBlackwell GPUではHopper H100に近いダイサイズを持つB100と、これらを2基組み合わせたチップレット構造を採用するB200の2つがラインアップされ、AI用途での学習性能が4倍、推論性能は最大5倍と大幅な性能向上が実現しています。
ただ、このBlackwell GPUでは大幅な性能向上を実現するためにチップレット化のほかにトランジスター数をHopper H100に対して20%ほど上げてはいるのですが、どうやら製造プロセスとしてはNVIDIA向けにカスタマイズしたTSMC 4NPと呼ばれる5nm世代の改良版プロセスが採用されることが明らかになっています。
製造プロセスは同世代だが密度が向上。コストパフォーマンスに期待
TSMC製造プロセス | 採用製品 |
---|---|
TSMC 3nm世代 (N3B) | Apple A17 Pro, M3 Series |
TSMC 5nm世代改良版(N4P) | NVIDIA Blackwell |
TSMC 5nm世代改良版(N4) | NVIDIA Hopper/Ada Lovelace(RTX 4000), Apple M2 |
TSMC 5nm世代 (N5/N5P) | AMD Zen 4, Navi 3x Series |
今回Blackwellに採用されるのはNVIDIAは『自社向けにカスタマイズされたTSMC 4NP』と発表はしていますが、TSMCのプロセスで言うところのN4Pになると考えられます。
TSMCの製造プロセスは2024年3月時点の最先端プロセスはTSMC 3nm世代のN3Bで、N4やN4Pなどは5nm世代の改良版にあたるプロセスになっています。
GB202 will use the same process node as GB100. I must clarify once again that TSMC 4N(vidia) is based on TSMC 5, not 4nm.
— kopite7kimi (@kopite7kimi) March 19, 2024
I'm sorry I cannot match Jensen's naming with TSMC's naming. We need professional chip analysis to determine.
At least, there is a 30% increase in density.
このN4PはAda Lovelace(GeForce RTX 4000)やHopperに採用されているN4に対して電力効率が6%向上するほか、マスク数を減らすことで製造サイクルタイムの改善が図られていることがTSMCのプレスリリースで明らかになっています。ただ、それ以外の情報はないのですが、リーカーのkopite7kimi氏によるとN4からN4Pへ変更することでトランジスタ密度は30%程度向上しているとのことです。
これは5nmから3nmに変更することで得られる1.7倍の密度向上には届きませんが、性能向上には十分なトランジスタ密度の向上が図られているようです。
Blackwell gaming has a totally new SM and cache. FYI
— AGF (@XpeaGPU) March 18, 2024
過去にGeForce RTX 5000シリーズのリークをしているXpeaGPU氏はGeForce RTX 5000シリーズについてはStreaming Multiprocessorやキャッシュ関係が刷新されるとのことで、N4P化による密度向上に加えて、アーキテクチャーの刷新が入れば数日目に登場したリークで言われている通り、RTX 4000シリーズに対してRTX 5000シリーズでは大幅な性能向上が見られると言えそうです。
NVIDIAではGPUアーキテクチャーを刷新する際には同時に製造プロセスも新しいものを採用する傾向にありましたが、Kopite7kimi氏が言うようにN4からN4Pに切り替えるだけで30%の密度向上が実現できるのなら、ライバルのAMDやIntelに勝つには十分であるため、わざわざ高いコストを払って3nm化する必要はなかったとも言えそうです。
ちなみに、製造プロセスが5nm世代のままであれば、コストもそれだけ抑えられます。また、N4Pでは『マスク数を減らすことで製造サイクルタイムの改善』と言うコストダウン要素も入っているため、GeForce RTX 5000シリーズについては性能の向上にも期待がかかりますがコストパフォーマンスについてもRTX 4000シリーズに対して大きく上がるかもしれません。もちろん下がったコストを利益に配分する可能性も十分ありますが、この辺りはライバルの動きを見て決めると思いますので、AMDやIntelにはぜひとも頑張ってもらいたいところです。
NVIDIA Blackwell Platform Arrives to Power a New Era of Computing | NVIDIA
https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-blackwell-platform-arrives-to-power-a-new-era-of-computing
TSMC Expands Advanced Technology Leadership with N4P Process | TSMC
https://pr.tsmc.com/english/news/2874
Kopite7kimi | X (Twitter)
https://twitter.com/kopite7kimi/status/1769903710849929570
XpeaGPU | X (Twitter)
補足情報
NVIDIA GeForce RTX 5000シリーズは2024年末頃に発売が計画されているグラフィックカードで、GPUアーキテクチャーには新世代のBlackwell GB系 GPUが搭載予定です。メモリーにはGDDR7が採用され、PCIe Gen 5.0に対応すると言われています。
データセンター向けBlackwell GPU発表前まではゲーミング向けGPUはGB20x系になると見られていましたが、Blackwell GPU発表でチップレット構造のGPUがB200と呼ばれているため、モノリシックダイとなるGeForce RTX 5000シリーズではGB10x系と呼ばれる可能性があります。
製品ジャンル | メーカー | 製品名 | 発売予定時期 |
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GPU | NVIDIA | GeForce RTX 5000シリーズ | 2024年末頃 |
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