Riot Gamesは、対戦シューター「Valorant」のアンチチートソフト「Vanguard」を更新し、SATAおよびNVMe接続のDMAチート機器のファームウェアを無効化したことが明らかになりました。Riot公式XはこのアップデートでDMAチートが使えなくなったオーナーに対して「6,000ドル(約96万円)の文鎮おめでとう」と挑発する反応も見せています。
VanguardがDMAチート機器のファームウェアを永続無効化
DMA(Direct Memory Access)は、本来はハードウェア機器がCPUを経由せずシステムメモリーへ直接アクセスするための機能ですが、外部からゲームメモリーを読み取り/改変するチート機器にも悪用されており、Riot Gamesは以前から対応を進めていました。
今回のVanguardアップデート適用後の環境では、ゲーム内に「IOMMU restart」の警告が表示され、IOMMUを利用したリードブロックの仕掛けにより、SATA/NVMe接続のDMAチートツールを無効化する仕組みになっています。この仕掛けが一度トリガーされるとValorantを起動していない状態やVanguardをアンインストール済みの状態でもDMAチートツールのファームウェアは復旧せず、修復にはOSのクリーンインストールとファームウェアの再インストールが必要とされています。
無効化の対象は安価なものに限らず、約6,000ドル(約96万円)するHeino 2sと呼ばれる高度なDMAチートデバイスにも及ぶとされており、DMAを用いたチートツールのほとんどをカバーする内容となっています。
Riot公式は「6,000ドルの文鎮」と反応
congrats to the owners of a brand new $6k paperweight https://t.co/3rjZVQntrc pic.twitter.com/fS3JC0FL0p
— Riot Games (@riotgames) May 21, 2026
Riot Games公式Xはこの件について「真新しい6,000ドルの文鎮を手にしたオーナーの皆さん、おめでとうございます」とコメントしており、新しいチート対策を導入したことを示唆しています。
アップデートの技術的な詳細は明らかにされていませんが、Riotは2025年12月にもASUS/Gigabyte/MSI/ASRockなど主要マザーボードのファームウェアでPre-Boot DMA Protectionが有効と表示されながらIOMMUが起動時に十分初期化されないケース(CVE-2025-11901、CVE-2025-14302〜14304)について警告する技術ブログを公開しており、IOMMUベースのチート対策に関する研究を積み重ねてきています。今回の対応も、そうした研究の成果の1つと見られています。
アンチチート対策としては、過去のVanguardでもカーネルモード動作やTPM 2.0必須化など強硬な施策が取られてきましたが、チート機器のファームウェアを恒久的に無効化する今回の措置はそれらを上回る踏み込みとなっています。
なお、今回のチート対策はSATA/NVMe接続のDMAファームウェアを使用できなくすることから、一般的なデバイスへの影響も懸念されていますが、あくまでDMAチート機器のみを対象とした処置のため、通常のSSDやPCそのものが破壊されることは無いようです。
Valorantは国内を含め世界的に人気の高いタイトルであり、過去から組織的なチート行為が深刻な問題となってきました。破壊に近い挙動のためPUBGやCall of Dutyなど他のパブリッシャーが同様の対応を取れるかは見通せませんが、Valorantではチート機器1台あたり数千ドル単位の損失をユーザーに強いる仕組みとなっており、従来よりもさらに対策が強化されたと考えられます。

