Intelではサーバー・データセンター向け製品としてSapphire Rapids世代のXeonシリーズを発表しましたが、このXeonのベンチマークの結果が出現、想像以上に競争力が低い可能性があるようです。
Sapphire Rapids Xeonの性能はZen 3 EPYC Milan並み。Zen 4 EPYC Genoaには対抗できず。
4th Gen Intel Xeon Scalable Sapphire Rapids Leaps Forward – Page 11 of 13 (servethehome.com)
IntelのSapphire Rapidsに関してはサーバー・データセンター向けのXeonラインアップとして投入が行われたCPUで、CPUアーキテクチャーにはAlder Lake-Sに搭載されているGolden Coveアーキテクチャーを最大56コア搭載する設計になっています。
このSapphire Rapidsに関しては、Zen 3を搭載するEPYC MilanやZen 4搭載のEPYC Genoaに対抗することを目的に当初は2021年発売を計画していましたが、2023年1月10日に発売が行われ、早速ベンチマークが行われているのですがその結果がかなり残念なものになっています。
今回のベンチマークはServethehomeが実施しており、Sapphire Rapidsは60コアを搭載するXeon Platinum 8490Hのデュアルソケットと56コアを搭載し最大3.8 GHzで動作するXeon Platinum 8480HのデュアルソケットがZen 4 EPYC GenoaやZen 3 EPYC Milanと比較が行われています。
Sapphire Rapids Xeonについては各種ベンチマークにおいてAMDのZen 4 EPYC Genoaに対して劣る結果となっており、Linux Kernel 4.4.2. Compileにおいては最上位のXeon Platinum 8490Hデュアルソケット(60コアx2)はEPYC Genoa 9654デュアルソケット(128コアx2)に対して58%の性能でEPYC 9554(64コアx2)に対しても8割程度の性能に留まってしまっています。
また、Zen 3世代のEPYC Milan 7773X (64コアx2)に対して同等レベルに留まっておりコア辺りの性能こそはEPYC Milanを上回ってはいますが、Zen 4 EPYC Genoaに対しては大きく劣ってしまっている結果になっています。
複数の仮想マシーン環境を作るベンチマークにおいてもEPYC Genoa 9654(128コアx2)はXeon Platinum 8490H(60コアx2)に対して70%高いパフォーマンスを発揮しています。コア数が2倍近い差があるためコア辺りの性能が気になる所ですが、ここでも64コアのEPYC 9554がXeon 8490Hより25%高い性能を実現している事からコア辺りの性能でもEPYC Genoaに対しては劣る結果となっています。
このSapphire Rapidsについては本来であれば2020年、遅くとも2021年には投入されるはずだったCPUであるため、2020年に発売されたZen 3搭載のEPYC Milanを辛うじて上回るレベルですが、2022年に発売がされたZen 4搭載EPYC Genoaには大きく差をあけられてしまっています。しかし、IntelではこのSapphire Rapids Xeonについてはサーバー・データセンターに特化したアクセラレータを搭載しておりアクセラレータにフィットするタスクであれば低い消費電力で高いパフォーマンスを発揮できる事をアピールポイントの一つにしていますが、汎用性についてはあまり高くは無いため2023年もサーバー・データセンター向け製品のシェアはAMDが躍進するという予想が妥当と言えそうです。
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