マザーボードの値上げ要因になってきたプリント基板が、AI向けの需要に押されて量も足りなくなっています。基板メーカーには納期が最長30か月に延びたところもあり、PCメーカーは来年の製品に使う分を確保しにくくなっているとのことです。
基板の生産能力はAI向けに回り、PC向けは後回しに
マザーボードでは、プリント基板が15〜50%、コンデンサが約50%値上がりするなどして原価が少なくとも10%上がったものの、販売の落ち込みで8月の値上げは全体で3%程度にとどまっていました。
今度は基板そのものが足りなくなっており、米国のPCメーカーの幹部はNikkei Asiaに対し、2027年もPCの出荷が減るかもしれないのに、必要な分の確保に苦労していると話しています。基板メーカーの1社によると、多くの製品で納期が倍に延び、一部は最長30か月に達しているとのことで、別の1社も今から注文すれば納品は2028年後半になるとしています。PC向けが足りないのは、基板メーカーの生産能力が、より多くの量をより高い価格で求めるAI向けの製品に回っているためとされています。
基板メーカーは増産を計画していますが、それには基板の母材となる銅張積層板(CCL)や専用のガラス繊維といった材料も確保する必要があります。台湾のPCメーカーの1社によると、CCLのコストは7月から少なくとも12倍になったとのことです。CCLの大手1社は2028年までに生産能力を3倍に増やす計画ですが、受注は2030年まで埋まりつつあるとしています。
PCが値下がりしても基板のコストは高止まり。マザーボードは2027年も値上げか
Acerの会長は、半導体各社の増産分が出回る2027年中ごろを境に、PCが値下がりに転じるとしていますが、基板の不足はその後も続くため、基板にかかるコストは高いまま残るとみられます。
パーツの中でこの影響が大きいのは、大きな多層基板を使うマザーボードとグラフィックカードで、価格の大半をNANDやDRAMが占めるSSDやメモリへの影響は限られます。グラフィックカードはメモリやGPUの値上げを受けて、GeForce RTX 5070の国内最安値が8月1日の約10.4万円から10月30日には約15.5万円へ49.1%、Radeon RX 9070 XTも41.9%上がっており、今後は基板の値上がり分も価格に反映される見込みです。
マザーボードは原価割れを避けるには少なくとも10〜15%の値上げが必要とされ、ASUSは10月から中国で再び値上げする方針で、上げ幅はPRIMEシリーズで約5%、ROGシリーズで約10%と伝えられていました。基板の不足が当面解消しない以上、マザーボードとグラフィックカードの値上がりは2027年に入っても続くと考えられます。


