Intelがサーバー・データセンター向けに開発したSapphire Rapidsをワークステーション向けに転用したXeon W 3400シリーズを2023年2月に発表し、この中で最上位モデルとなるXeon W9-3495Xはオーバークロック機能に対応しています。そのため、オーバークロッカーはこぞってこのCPUでベンチマーク最高記録を達成しようとしていますが、今回5.5 GHzにオーバークロックし、1900Wにも及ぶ消費電力が記録されたようです。
Xeon W9-3495Xを5.5 GHzにオーバークロック。単体CPUで世界最高？の1881Wの消費電力を記録。ただしベンチマークでは世界記録を破れず
IntelではAlder Lakeで採用されていたGolden Coveアーキテクチャーをサーバー・データセンター向け製品に転用したSapphire Rapids-SP Xeonを発売、最大60コア、TDP350Wで構成されていますが、このサーバー・データセンター向け製品をベースに、ワークステーション・HEDT向けCPUとしてSapphire Rapids-WS（Xeon W3400）を2023年2月15日に発表しました。
このCPUでは最上位モデルのXeon W9-3495Xでは56コア、112スレッド構成となっており、112レーンのPCIe Gen 5、105MBのキャッシュなど強力なCPUになっており、定格設定でも最大420WのTDPとなっています。このXeon W9-3495Xを含むXeon W3400系CPUはサーバー・データセンター向けのXeonとは異なりオーバークロック機能に対応している事からオーバークロッカーはこのCPUを用いてベンチマーク世界記録に挑む例があります。
今回ASUS社内のオーバークロッカー集団、Elm0rがこのXeon W9-3495Xを用いてオーバークロックとベンチマーク世界記録に挑み、CPU単体で2000W近い消費電力が記録された事を明らかにしています。
Xeon w9-3495X 5.5 GHz 1900W in Cinebench R23 – YouTube
このオーバークロックデモは、ASUSの本社で行われ、Intel Xeon W9-3495X CPU、ASUS Pro WS W790E-SAGE SEマザーボード、8枚のG.Skill ZETA R5 DDR5 DRAM、および2つのSuperflower Leadex 1600W電源ユニットが使用されました。
動作クロックは液体窒素で冷却された状態で、全コア5.5 GHzに設定され、CPU温度はテスト中は-91.8℃が記録されているとのことです。
この5.5 GHzと言う動作クロックでCinebench R23を回したところ、HWiNFOで示されるCPU単体での消費電力は最大1881Wに到達したとのことです。なお、過去にCPUのみならずGPU単体でも2000Wに迫る消費電力が記録された例はなく、12VHPWRを2口備える、GALAXのGeForce RTX 4090 HOF OC LAB Editionでも3.7 GHz以上にオーバークロックしても1000Wを少し超える程度となっています。
肝心な結果ですが、Elm0r氏によるとこれだけ高い消費電力を記録していますが、Cinebench R23の世界記録は破る事は出来なかったとの事で、今回のスコアは132220ptで、Xeon W9-3495Xが達成している世界記録の132484ptには僅かながら届かなかったとのことです。
このXeon W9-3495Xは全コア5.5 GHzで動作し、最大1881W近い消費電力を記録しながらも非常に安定した動作が可能だったとのことで驚異的と言えます。ただ、このSapphire Rapidsに対応するLGA4677でもこれだけの消費電力に耐えられるため、今後Granite Rapidsなどで搭載されるLGA7529では現在の定格最大420Wを超える消費電力と、オーバークロック時は3000Wを超える事も夢は無いかもしれませんね・・・
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