Valveが、アップスケーリング技術FSR 4を動かすDLLを互換レイヤー「Proton Experimental」へ加えたことが、リーカーのBrad Lynch氏の指摘で判明しました。SteamOSを採用するSteam Machineが、AMD公式のWindows向け提供とは異なる経路でFSR 4を利用できる可能性が出てきました。
SteamOSはAdrenalinを使えず、Proton経由でFSR 4対応
AMDは当初7月を予定していたRadeon RX 7000シリーズ向けFSR 4.1の正式提供を前倒しし、すでに配信を始めています。ただしこれはWindows用のAdrenalinドライバーを通じて行われるため、独自のLinuxベースOSであるSteamOSを搭載するSteam Machineでは利用できません。ただ、Steam MachineのGPUはRDNA 3ベースで動作要件自体は満たしているため、ハードウェア上は対応可能となっています。
署名済みDLLでFSR 3対応ゲームをFSR 4へ
Valve just added the version of AMD’s FSR4 that was announced last month and adds support to older GPUs rather than just RDNA4
This DLL file, added to Steam, and coming to Proton Experimental will likely allow Steam Machine/SteamOS users to “upgrade” FSR3 supported games to FSR4
Brad Lynch -via X
追加されたのは「amdxcffx64.dll」と呼ばれる署名済みのファイルで、FSR 4.1.1のINT8版にあたります。Brad Lynch氏によると、これはFSR 3に対応したゲームをFSR 4へ「アップグレード」する形で動かすもので、SteamOS環境のユーザーが対応タイトルで新しいアップスケーラーを利用できるようになるとのことです。
このDLL自体は、Proton GEやOptiScalerといった非公式の環境でこれまでも使われてきました。今回の動きで異なるのは、Valveが配信する公式のProtonに組み込まれた点と、ファイルに署名が施されている点です。署名済みであれば、ファイルの整合性を確認するタイトルでも弾かれにくく、手動でのファイル差し替えが通用しなかったゲームでも動作する余地が生まれます。
ただし、DLLが含まれるのは現時点でテスト版のProton Experimentalのみで、安定版への展開時期やValveの正式な見解は示されていません。
PS5とのGPU性能差をFSR 4で縮める余地
Steam Machineを巡っては、GPU性能を要するタイトルで通常版のPS5に及ばないことがDigital Foundryの実機検証で示されています。一括で扱える広いメモリ帯域を持つPS5に対し、DDR5とGDDR6を分けるSteam Machineは描画に回せる帯域が狭く、これが差を生む要因とされています。
アップスケーリングは低い内部解像度で描いた映像を補完して引き上げる技術のため、GPUの描画負荷そのものを下げられます。帯域やGPU性能で劣るSteam Machineにとっては、実効的なフレームレートや解像度を底上げし、PS5との差を一部埋める手段になりうるとみられます。RDNA 3世代のFSR 4.1は画質がRDNA 4世代と同等に仕上げられており、Steam Machineに搭載されるRDNA 3 GPUでも画質を損なわずに処理負荷を下げられる見込みです。
Steam Machineは6月23日に国内でも発売され、512GBモデルの価格は18万9980円とPS5 Pro(13万7980円)を上回ります。価格面では依然として不利なものの、FSR 4がProton経由で標準的に使えるようになれば、PS5に対してGPU依存タイトルでの劣勢は抑えられることになります。

