AMDがFSR 4.1を、RDNA 3.5ベースのRyzen AI APUにも提供する方針を明らかにしました。内蔵GPU向けに軽量な機械学習モデルを新たに開発し、ノートPCやミニPC、携帯ゲーム機へとアップスケーリングを広げます。あわせてRadeon RX 7000(RDNA 3)向けのFSR 4.1も、当初予定の7月から前倒しで正式提供が始まっています。
RX 7000向けが配信、画質はRDNA 4と同等
FSR 4.1は2026年3月にRDNA 4世代のRX 9000シリーズ専用として登場し、AMDは5月にRX 7000を7月、RX 6000を2027年初頭に対応させる計画を示していました。RX 7000ユーザーはそれまでOptiScalerなどの非公式ツールでINT8版のFSR 4を動かしていたものの、タイトルごとの互換性や安定性に課題を抱えていました。
Jack Huynh氏によると、今回の配信は最新のAdrenalinドライバを導入すればすぐに利用でき、対応タイトルは300本以上に及びます。RDNA 3はFP8に非対応でINT8で処理するため画質の低下が懸念されていましたが、AMDはINT8版でもRDNA 4と同等の画質に仕上げたとしており、RX 7900 XTXの『Crimson Desert』では4Kネイティブの43fpsがFSR 4.1で64fpsまで伸びています。これにより、非公式ツールへの依存は解消に向かいます。
RDNA 3.5にもFSR 4.1。非対応方針を撤回
RDNA 3.5搭載APUについては、今月初めにAMDのDavid McAfee氏が現時点で提供計画はないと述べていた経緯があります。メインメモリをビデオメモリとして共有する内蔵GPUは帯域が120GB/sほどにとどまり、アップスケーリングの負荷を吸収しきれない点がハードルとされていました。ところが今回、Jack Huynh氏はこの方針を転換し、iGPU専用の軽量モデルを開発するとしています。
対象はRadeon 890Mなどを内蔵するRyzen AI 300/400、およびRyzen AI MAX(300/400)シリーズで、帯域の限られたハンドヘルドやミニPCでもFSR 4.1を使えるようにする狙いです。軽量モデルという表現からは、従来ネックだったメモリ帯域や演算リソースの制約を抑えた設計を進めているとみられます。
リークでは890Mでも動作、転換の裏付けに
Valveが配信するProton Experimentalから署名済みのFSR 4.1.1 INT8が一時的に流出し、これを入手したユーザーがOptiScaler経由でRDNA 3.5世代のRadeon 890Mで問題なく動作させたと報告しています。RDNA 2のRX 6900 XTでは画質の乱れが残ったものの、Strix Pointの内蔵GPUでは安定して動いたことから、AMDが課題としていたiGPUでの実現性そのものは裏付けられた形です。
ただし、iGPU向けの正式な提供時期はまだ示されていません。Zen 5世代のRyzen AIノートやミニPCを使うユーザーにとっては朗報ですが、すぐに試したい場合は当面はOptiScalerなど非公式ツールを使用する必要があります。

