保証期間内に故障したSamsung 990 Proの4TBモデルについて、サムスンが交換に応じず購入時価格である330ドルの返金を提示したことが明らかになりました。同じドライブはサムスン自身のAmazonストアで949ドル・在庫ありで販売されており、購入者は交換を求めて提訴の準備を進めています。
990 Proの保証交換拒否を巡る対立の経緯
提訴に踏み切ったのは、修理する権利(Right to Repair)を訴える活動家として知られるLouis Rossmann氏です。同氏のドライブはRAID 1構成で運用され、ヒートシンクと80mmファン2基で冷却していたとされ、酷使による故障ではないとしています。エラーログを添えてRMA(保証交換)を申請した当初は、サムスン側もログ上はドライブが故障していると認めていたとのことです。
ところが、その後サムスンが現物をテストした結果は「正常動作」というもので、Rossmann氏のもとには自身のドライブの返送伝票だけが届いたとされています。手元の機材で再検証してもドライブは正常に動作しなかったとのことで、ここから交換要求と返金提示の対立に発展しました。
購入時330ドルと現在949ドルの差
サムスンは在庫がないことを理由に返金対応を選んだとされていますが、Rossmann氏は同型ドライブがサムスン公式のAmazonストアで潤沢に在庫を持ち、949ドルで販売されている点を指摘しています。330ドルの返金を受けても、同じ4TB 990 Proを買い直すには約3倍の出費が必要になる計算です。
この差額の背景にあるのがNANDフラッシュの価格高騰です。AIインフラ向け需要でメモリ各社がサーバー向け製品を優先した結果、コンシューマー向けSSDは値上がりが続いており、日本でも4TBクラスは2026年の年初から1.5倍に迫る水準まで上昇しています。購入時には妥当だった保証上の返金額が、再購入価格にまったく追いつかない状況が生まれています。
保証規定との矛盾と過去の前例
サムスン自身の保証規定は、「同等以上の容量・機能を持つ製品での修理・交換」か、「交換できない場合に限り請求時点の現行市場価格を返金する」かのいずれかを選ぶと定めています。在庫がある以上は交換が筋であり、仮に返金になるとしても基準は現行価格であって、購入時の330ドルではないというのがRossmann氏の主張です。なお、990 Proを巡っては2023年にもSamsungが保証交換を一度拒否し、報道で大事になってから受理に転じた経緯があり、対応の不透明さが繰り返し問題になっています。
ここ最近のメモリ系価格高騰を背景に、保証の見直しや反故する事例が出てきており、永久保証を謳うメモリで購入額の一部しか返金されなかったSilicon Powerの事例なども出てきています。また、KingstonやCrucialなど一部メーカーはあらかじめ保証に「現行価値か購入価格の低い方」を返金とするため、値上がり局面では返金額が再購入価格に届かないおそれがあります。
高額化したSSDが保証期間内に故障した場合、返金基準が購入価格か現行価格かで負担額は数万円単位で変わります。そのため、もしこれから大容量SSDを選ぶ際は、返金ではなく同等品への交換を明記したメーカーを選ぶか、保証規定の返金基準を購入前に確認しておくのが現実的な防衛策になります。

