Intel Arrow Lake-S でSSD速度が16%低下する不具合が発覚。チップレット構造が原因
Intelが2024年10月に発売したArrow Lake-S世代のCore Ultra 200SシリーズではCPUアーキテクチャーが刷新されたほか、タイルと呼ばれるチップレット構造が採用されたことで大幅な性能向上が期待されていました。しかし、結果はゲーミング性能は先代モデルを劣る性能であり、その主な原因は新たに採用されたチップレット構造と言われていましたが、どうやらゲーミング性能のほかにCPUと直結で動作するPCIe Gen 5のストレージ性能もこの新構造により性能が大きく低下してしまうことが明らかになりました。

SSDなどのレビューを行うTHE SSD REVIEWによると、Z890マザーボードでCPUと直接通信が可能なPCIe Gen 5対応のM.2スロットでPCIe Gen 5対応NVMe SSDを使用しても、SSDが発揮できる最高性能である14 GB/sと言う速度に達することが出来ず、約12 GB/sで読み取り性能などが頭打ちになる不具合があることを明らかにしています。

この不具合はRaptor Lake Refreshなどで使われていたZ790マザーボードでは発生しておらず、CPUから直結するPCIe Gen 5対応M.2スロットでも14 GB/sを超える読み取り性能を発揮できていることを明らかにしています。
この不具合についてマザーボードメーカーのASUSやASRockに問い合わせを行ったところ実際に、このようなトラブルが発生していることを確認したことも明らかにしていますが、主な原因はCore Ultra 200Sシリーズから導入されたチップレット構造が原因とのことです。
Arrow Lake-SはPCIe Gen 5レーンの内、グラフィックカードとの接続に使われるx16レーンはSoCタイルに直接つながれている一方で、NVMe SSDが使われるx4レーンはI/O Extenderタイルと呼ばれるThunderboltコントローラーやUSB4などを司るタイルを経由し、SoCタイルに接続する構造となっており、データパスが長くなるとのことです。これにより、レイテンシーが増加してしまい、PCIe Gen 5対応NVMe SSDの性能が12 GB/sに制限されてしまうボトルネックになってしまうようです。

実際に、Z890マザーボードのPCIe Gen 5のx16レーンにPCIe Gen 5対応NVMe SSDを拡張するカードを搭載して読み取り性能を確認すると読み取り性能は14 GB/sに回復しています。ただ、それでもランダム読み取り性能は自Z790に比べると低いなど他にも構造的な問題が潜んでいる可能性がありそうです。
このArrow Lake-Sで見られるPCIe Gen 5対応NVMe SSD性能の低下は上述の通りCPUの構造そのものが原因になっていることからIntelはまだこの件について声明は出していませんが、ファームウェアアップデートによる改善はかなり困難と言えます。そのため、Arrow Lake-Sについては特にハイエンドユーザーにとっては期待外れのゲーミング性能と相まってSSD性能が引き出せないなどさらに評価を落としてしまう仕様と言えそうです。そのため、もしArrow Lake-Sに乗り換えを検討していても高速なストレージ性能を求めるユーザーは現状はAMDに移行するか、拡張カード経由での接続を検討する、それかIntelが2026年以降に発売を予定しているNova Lake-Sまで待つと言うことが必要になりそうです。
Intel Core Ultra 200 Series Motherboards Are Not Achieving M.2 Slot Gen 5 14GB/s SSD Performance | THE SSD REVIEW
コメント
コメント一覧 (5件)
ハイハイ! ワタシ日本語ニ堪能ナノデ、コウイウ時ニ何ト言ウノカ知ッテマス。
「あちらが立てばこちらが立たず」
これで困るのハイエンドユーザーじゃなくてベンチマークオタクくらいじゃない
これくらいの速度だと他のところがボトルネックになりそう
BIOSの書き換えまでして調整して数%の向上なのに、低下は16%とは桁違いになってますな。
BIOSの書き換えまでして調整して数%の向上なのに、低下は16%とは桁違いになってますな。
まあAMDもシーケンシャルは速いけどランダムは遅い特性が前からあるし、
チップレット構造にする限りは仕方なさそう。