AppleがTSMC 3nmの生産枠をすべて確保。IntelやAMDの新製品への影響は?

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Appleでは独自に開発するSoCについては持ち前の資金力と販売需要からTSMCの最新プロセスを先駆けて採用する傾向にありますが、TSMCの最新鋭3nmプロセスである『N3』についてAppleがすべての生産枠を確保した事が明らかになりました。

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AppleがTSMC 3nmの生産枠をすべて確保。改良版のN3EなどはQualcommやMediaTekが利用、AMDやNVIDIAは更にその後。

Apple Has Reportedly Secured TSMC’s Entire N3 Supply For Upcoming A17 Bionic, M3 SoCs

TSMCでは最先端プロセスである3nmの量産に向けて準備を進めていますが、この3nmが最初に量産されるFab18についてAppleがすべての生産枠を確保した事がDigitimesの取材により明らかになりました。

AppleはこのTSMC 3nmを用いてiPhone 15 Proに搭載される予定のA17 Bionic SoCや新型Macbookへの搭載が予定されているApple M3 SoCの製造を行う予定で、Digitimesがサプライチェーン関係者から得た情報によると、AppleはTSMCと3nmについて供給価格の値上げに合意し、さらに生産枠の独占のために追加の支払いも行ったとのことです。

TSMCの3nmについては初期バージョンのN3はAppleがすべて独占する形となりましたが、コストを下げた改良版であるN3Eの開発を進めており2024年頃にはQualcommやMediaTek向けにも製造が行われる見通しのようですが、ここで気になるのがTSMC 3nmを使うと見られているIntel、AMD、NVIDIAの次世代製品への影響ですがこの点はあまり心配は無いかもしれません。

Intelについては3nmの生産枠について2021年12月頃にはMeteor Lakeに内蔵されるGPUを生産するためにTSMCに多額の契約金を支払ったと言われていますが、2022年夏ごろにTSMC 3nmの生産枠については量産向けの枠を返上しエンジニアリングサンプル製造用に振り分けたという情報が出ています。

Intel第14世代CPU、Meteor Lakeの登場は2023年末以降へ延期された模様

Intelはこの件についてすぐに火消しに走りましたが、AppleがTSMC 3nm枠をすべて確保した事が事実であればMeteor LakeのGPUについてはTSMC 5nmや自社Fabで製造が行われるのか、Meteor Lake自体が2024年に入ってからの発売に延期されるかの2択となります。

AMDについては2024年に計画されているZen5 CPUやRDNA 4 GPUについてTSMC 3nmが活用される予定ですが、2022年5月時点ではAppleやIntelがTSMC 3nmの生産枠の大部分を抑えた事でこれらの製品の投入が遅れる可能性が指摘されています。

IntelとAppleが原因でAMD Zen5搭載CPUの登場が2025年まで遅れる可能性。

しかし、AMDはZen5 CPUやRDNA 4 GPUについて2024年までの発売を計画しているためQualcommやMediaTekと同じく2024年に量産開始が行われるN3Eの生産枠での製造に落ち着くと見られるため投入計画を大きく遅れさせるような要因にはならないと見られています。

NVIDIAについても2024年頃に次世代グラフィックカードのGeForce RTX 5000 Blackwellの投入を計画していますが、AMDと同じく2024年からの発売となるため生産枠の確保は可能と見られています。

TSMC 3nmについては半導体需給がひっ迫していたため、IntelやAppleなどはお金を払ってでも先に予約を確保する動きに出ていましたが、半導体製品の需要の減少などにより需給状況は改善に向かっています。また、3nmの先頭バッターであるN3プロセスについては生産枠自体少ないと言われていますが、その次のN3Eについてはコスト低減と生産性向上が行われ、TSMCの次期メインストリームプロセスとして活躍する事が期待されているため生産枠はN3に比べると多くなる見込みです。そのため、N3プロセスがすべてAppleに抑えられたとしてもN3Eの量産開始予定である2024年以降に製品投入予定であれば特に大きな問題になる事は無いと見られています。

なお、TSMC 3nmの生産枠のすべてが抑えられてしまうことで、TSMCのライバルでもあるSamsungにとってはいち早く3nmでの製造を行いたい顧客を取るチャンスとなりますが、残念ながらSamsungが開発中の3nm GAAプロセスについては依然として歩留まりが20%台と低いようです。

サムスン電子製3nmプロセスの歩留率は20%台の模様。顧客はマイニング用ASICのみ

現時点ではこの歩留りが改善したという話はなくいち早く3nm製品の製造を求める顧客を取り込むほど進捗が出ていない様子です。


 

 

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 何してくれとんねん!
    とか思ったけど、今世代でPC新調したので暫くはスルーですね
    Ryzen9950x3dとか、RX9900XTX
    とかの生産が始まるまでは好きにしてて良くってよw

  • まあ、サムソンとかいう地雷踏む勇者そうはいない

  • 近年の1つのプロセスルールが2年程度しか持たないって明らかにオーバーペースだよ

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