AMDがCPU生産の一部を、現在主力としているTSMCに加えてサムスン電子の2nmプロセスへ分散させる方向で具体的な議論を進めていることが、韓国メディアの報道で明らかになりました。エイジェンティックAIの普及によるCPU需要急増を背景に、TSMC一極集中体制からの転換を図る動きと見られています。
AMDがサムスン2nmでのCPU生産を検討。TSMC一極集中から転換へ
サムスン電子のファウンドリ事業部は最近、AMDとの2nmチップ受注関連の議論を進展させているとのことです。3月にはAMDのリサ・スーCEOが訪韓し、サムスン平澤のファウンドリ事業所を視察した際に2nm受注に関する議論を進めたと伝えられており、近く何らかの成果が表面化する見通しです。
エイジェンティックAIの普及でCPU需要が急増
これまでAIの主戦場はGPUでしたが、単に質問に応答するチャットボットから自律的にタスクを実行する「エイジェンティックAI」への移行に伴い、複雑な作業フロー全体を管理するCPUの重要性が高まっています。CPU市場で主導権を握るAMDの収益性も急拡大しており、2026年第1四半期の売上は前年同期比38%増の102億5000万ドル(約1兆6400億円)を記録しました。
TSMCの2nm先端プロセスは2028年以降まで予約済み
AMDはCPU生産の大部分をTSMCに委託していますが、NVIDIA、テスラ、Appleといった大口顧客の発注が集中しているTSMCはキャパシティー不足に陥っており、特に2nm以下の先端プロセスは2028年以降まで相当量が予約済みとなっているとのことです。
AMDは2025年末にCPU価格を10%以上引き上げた経緯もあり、TSMC依存は価格交渉のレバレッジを失う一因となっていました。生産分散は供給制約の回避にとどまらず、中長期的なコスト面の柔軟性確保にもつながる動きと見られます。
そうしたなか、サムスンは既にテスラの次世代AIチップ「AI6」「AI5」の受注を確保しています。米国テイラー工場で2027年から2nm以下の先端プロセスによる本格生産が始まる予定で、AMDが加わればビッグテック顧客の獲得が一段と進む形となります。クアルコムも2026年4月にSnapdragon 8 Eliteの次世代モデルからサムスン2nmを活用する方向で議論を進めていることが報じられており、サムスン2nmへの大口顧客集中が短期間で続く展開となっています。
ただ、AMDがサムスン2nmを活用するのは当分先になると見られており、1年以内に登場予定のZen 6世代では既にTSMC 2nmで設計、製造が進められているため、サムスン製造のCPUが追加される公算は低いと見られます。
一方、2028年以降に投入が見込まれるZen 7では、TSMC A14の採用が噂されるなどコスト高騰やキャパシティー不足が懸念材料となっているため、コンシューマー向けなどコストが優先される用途では、サムスン2nmを採用する形での差別化が図られる可能性も考えられます。

