一部の悪質なマイナーがグラフィックスカードの使用感を消すためにメモリーや基板を再塗装している可能性が1月ごろに指摘されていましたが、中国の通販サイトAliExpressでは欠陥のあるメモリーモジュールの品番を塗り替えたグラフィックスカードが出回っているようです。
AliExpressでメモリーモジュールが再塗装されたグラフィックスカードが見つかる。欠陥を隠すためか?
グラフィックスカードは2020年以降にマイニングがブームになり品薄となっていましたが、2022年中頃以降はEthereumのマイニングが出来なくなったことから収益性が大きく低下し、多くのマイニング業者は損失を最小限に留めるためにグラフィックスカードの売却などを進めています。
しかし、マイニングに使われたグラフィックスカードはマイナーへの嫌悪感や劣化の心配からあまり人気がありません。そのため、一部の悪質なマイナーは劣化が見られるメモリーモジュールや基板自体を再塗装し、マイニングで使われた形跡を消すという事例が出ています。
そんな中で中国のAliExpressで販売されているグラフィックスカードを入手したブラジルのYoutuber、Paulo Gomes氏がAliExpressで販売されているGeForce RTX 2080 Tiにて、メモリーモジュールのシリアル番号まで書き換えられている例が見つかったようです。
A BOMBA RELÓGIO DO ALIEXPRESS – A SACANAGEM TÁ AUMENTANDO – MEMÓRIA MICRON – YouTube
NVIDIAのGeForce RTX 2080 Tiについては発売直後、Micron社製のGDDR6メモリーモジュールが搭載されていましたが、一部でRTX 2080 Tiが突然死する問題がありました。この問題についてNVIDIAではメモリーモジュールが原因であるとは示していませんでしたが、NVIDIAが保証交換したグラフィックスカードではSamsung製のメモリーモジュールが搭載されていたこともあり、Micron社製メモリーモジュールが原因であるとRedditでは推測されておりこれらのメモリーモジュールが搭載されているグラフィックスカードはあまり人気が無いと言われています。
Paulo Gomes氏によるとliExpressで入手した中古のRTX 2080 Tiについて搭載されているメモリーモジュールが再塗装されている事を発見したとのことです。このメモリーモジュールには9XB77 D9WCWと言うチップ番号が記載されていましたが、この番号は塗装がされた偽の番号で塗装を剥がしたあとには「8RA77 D9WCW」という番号が記載されていたとのことです。
メモリーモジュールの再塗装にはメモリーモジュールを取り外し塗装し、再度はんだ付けするなど多くの手間がかかります。この販売者が手間をかけてメモリーモジュールを偽装する背景にはこの「8RA77 D9WCW」はRTX 2080 Tiが突然死した際に疑われていたリビジョンのメモリーモジュールであり、AliExpressの販売者はこのメモリーモジュールが搭載されていることで販売面に悪影響が出ることを恐れて手間をかけて偽装工作を行ったとみられています。
そもそも評判が悪いAliExpressを利用して中古のグラフィックスカードを購入するユーザーはなかなか居ないと見られますが。AliExpressで安くで入手したグラフィックスカードをそのあとeBayやヤフオクなどに転売して利益を得るという悪質な事例も考えられます。
マイニングで酷使された中古グラボが危険な理由。欲しい場合の安全策を紹介
そのため、中古グラフィックスカードを買う際は注意が必要ともなりますが、一方で個人でマイニング利用されたようなグラフィックスカードはお得に買える可能性もあるためこの辺りはどれだけ安く買いたいか、またどれだけリスクを取れるかによって変わってくるため以下の記事を参考に判断してみてください。
コメント