AMDがデスクトップ向けRyzen 7000をノートPC向けに転用したRyzen 9 7945HX Dragon Rangeについて搭載したノートPCのベンチマーク結果がNotebookCheckに掲載されました。性能はRaptor Lake-HX並みながら、消費電力が非常に少なくなっているようです。。
AMDのノートPC向けCPU最上位、Ryzen 9 7945HX “Dragon Range” CPUのベンチマーク出現。Intel Raptor Lake-HX並みの性能を20%以上少ない電力消費で実現。
AMDではデスクトップ向けに開発したZen 4アーキテクチャーを搭載するRyzen 7000シリーズCPUをノートPC向けに転用したRyzen 7045HXシリーズ(通称:Dragon Range)をまもなく投入予定です。
このRyzen 7045HXシリーズについては既に最上位モデルのRyzen 9 7945HXやハイエンドのRyzen 7 7745HXのベンチマーク結果は出ていますが、今回このRyzen 9 7945HXを搭載したハイエンドゲーミングノートPCのASUS Zephyrus Duo 16をレビューした結果がNotebookCheckにて掲載されており、このRyzen 9 7945HXの性能が明らかになりました。
AMDのRyzen 9 7945HXはデスクトップ向けに開発されたRyzen 7000シリーズと同じくCCDを2基とI/Oダイを1基搭載したCPUになっていますが、ノートPC向けに省電力化が図られています。そのため、コア構成は16コア32スレッド、キャッシュ容量はRyzen 9 7950Xと同じくL2が16MB、L3が64MBで同じですが、動作クロックはベースが2.5 GHzで最大5.4 GHzとデスクトップ向けより低くなっています。また、TDPは55~75W+のレンジでOEMが設定できるようになっています。
絶対的な性能はRaptor Lake-HXのCore i9-13980HXがRyzen 9 7945HXと同等か少し上回る
NotebookCheckではCinebenchやGeekbenchなどCPUベンチマークに加え、複数のゲームでのベンチマーク結果を掲載しています。今回のRyzen 9 7945HXに最も性能面で近いのは同じくデスクトップ向けCPUのRaptor Lake-SをベースにノートPC用に転用しているRaptor Lake-HXシリーズで、モデルはCore i9-13980HXやCore i9-13950HX、Core i9-13900HXとなります。
CPUベンチマークのCinbench R23においては、シングルコア性能はCore i9-13980HXがRyzen 9 7945HXを12%上回るなど高い性能を記録していますが、マルチコアにおいてはRyzen 9 7945HXが逆転し、Core i9-13980HXより4%上回るスコアを記録しています。これに似た記録がCinebench R20, R15, 7Zipでも見られていますが、唯一GeekbenchではCore i9-13980HXがマルチコアでRyzen 9 7945HXを上回るスコアを発揮しています。
ゲーミングにおいてはCore i9-13950HXがRyzen 9 7945HXを最大7%上回るスコアを記録するなどシングルコアが重視されるゲームではRaptor Lake-HXの方が若干ながら有利となるようです。
消費電力量はRyzen 9 7945HXが圧倒的に下回りRaptor Lake-HXを22%上回る電力効率を発揮
性能面ではRyzen 9 7945HXとCore i9-13980HXの間では大きな差はありませんが、消費電力などノートPCで重要視される電力効率面ではRyzen 9 7945HXが優れるようです。
Cinebench R23のマルチコアテスト時の動作クロック、CPU温度とCPUパッケージ消費電力のログ計測データではCore i9-13980HXは動作クロックは最大でも4 GHzを下回り、平均では3.8 GHzで動作しCPU温度は最大86℃、CPU消費電力は最大203W、平均190.4Wが記録されています。
一方で、Ryzen 9 7945HXは常に4 GHzを超える動作クロックで動作していながら、CPU温度は最大でも82.5℃、そしてCPU消費電力は最大118W、平均108WとCore i9-13980HXより43%低い消費電力になっています。
NotebookCheckによると、Ryzen 9 7945HXとCore i9-13980HXの消費電力を120Wに制限した際にはRyzen 9 7945HXは34521ptを記録した一方で、Core i9-13980HXは28333ptであったため、電力効率面ではRyzen 9 7945HXの方が約22%高いという結果になっています。
ゲーミングノートPCにおいてはバッテリーの持続時間はもちろんの事、ゲーミング時の冷却が大きな課題となりますが、この点Ryzen 9 7945HXは消費電力が低いためファンの回転数を下げる事で騒音を減らしたり、GPU側へ使える電力を回すなどしてパフォーマンスを高める事が可能となるため、ゲーミング時のパフォーマンスや快適性を重視するのであればRyzen 9 7945HX搭載のゲーミングノートPCは最適解となると考えられます。
Ryzen 9 7950X3DとRyzen 9 7900X3Dは2023年3月3日 11:00より発売開始。
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