Intel Raptor Lakeの不具合がサーバーにも波及。定格で使ってもCPUが劣化する模様

Intel Raptor Lakeの不具合がゲームサーバーなどにも波及。定格で使ってもCPUが劣化する模様

Intelの2022年発売のRaptor Lake-Sおよび2023年発売のRaptor Lake Refreshのハイエンドモデルを中心に、CPU温度が高いにもかかわらず、高すぎる動作クロックで動かし続けた結果、CPUが劣化し、動作電圧が上がるなどして高負荷時にゲームが落ちる不具合が発生しています。この問題についてはIntelも事態を把握しており、6月ごろに公式に原因究明と対策を検討していることを明らかにしました。

しかし、不具合が発生しているCPUに対する対応策はまだ発表されていません。この不具合はゲームサーバーやエンタープライズ向けモデルでも発生しており、一部のシステムプロバイダーではIntelからAMDに切り替える動きが出始めています。

IntelのRaptor Lake系CPUで発生している不具合の多くは、CPUを高い動作クロックで動かすことが原因とされ、オーバークロックに対応したKバリアントとZ690/Z790マザーボードと組み合わせることで発生しやすいと言われています。しかし、YouTuberのLevel1Techsが独自にこの不具合について調査したところ、W680マザーボードとCore i9-13900KおよびCore i9-14900Kを組み合わせたゲームサーバーなどでも頻繁にクラッシュし、CPUの劣化が疑われる不具合が頻発していることがわかりました。

W680マザーボードはコンシューマー向け製品ではなく、24時間365日稼働することを前提にしているため、オーバークロックのオプションも提供されていません。しかし、Oodleのゲームテレメトリーデータによると、CPU関連のエラーログの内70%がIntel製CPUであり、AMD製CPUは30%に過ぎないということです。これにはIntelシステムの台数が多い可能性もありますが、非圧縮処理時のエラー件数はIntelが1431件に対し、AMDはわずか4件と大きな差があることが明らかになっています。

特にRaptor Lake系CPUでは不具合が異常に多く、CPUを物理的に交換しても再び壊れるなど信頼性が非常に低いです。そのため、一部のサーバープロバイダーはRyzen 9 7950Xベースのシステムへの乗り換えを検討するほか、新規注文でもRyzen 9 7950Xベースのシステムを勧める動きが加速しています。

この不安定さから、一部のサーバープロバイダーはCore i9-14900Kベースのサポートサービス価格を改定する動きも出ています。例えば、Ryzen 9 7950Xベースのシステムではサポート費用が$139であるのに対し、Core i9-14900Kシステムでは$1280と約10倍のサポート費用が請求される事例もあります。

このLevel1Techsの調査結果は、Raptor Lake系CPUの不具合が単にオーバークロック対応モデルに限定されず、定格運用でも発生することを示しています。そのため、Intelが用意したBaseline Profileを用いても、特定の条件が重なればCPUが劣化し、動作が不安定になる可能性があります。

IntelはRaptor Lake系CPUの不具合に対する今後の対応について明確にしていませんが、2024年末には次世代デスクトップ向けCPUのArrow Lake-Sも発売される予定です。この問題を消費者が満足できる形で解決できなければ、Arrow Lake-Sの販売にも大きな悪影響を与えるのは必然です。Intelには早急な対応とRMA期限延長など、将来を見越した対応が求められます。