Googleが2027年からPixelのスマートフォン・スマートウォッチ・ワイヤレスイヤホンをすべて中国以外で生産する方針を、取引先に伝えたことが明らかになりました。
GoogleがPixelの生産拠点を中国からベトナムなどへ移管
GoogleによるPixelの脱中国は今回が始まりではなく、2019年には中国の人件費上昇と米中貿易摩擦による関税負担を背景に、ベトナムへの生産移管を始めていました。2022年には中国のコロナロックダウンによる生産停止と米中関係の悪化を受けてインドへの移管も検討され、Pixel 9世代でも発売初期は中国製で、その後インド製へ段階的に切り替える形が続いています。
Nikkei Asiaによると、Googleは2027年からPixel、Pixel Watch、Pixel Budsのすべての製品を中国外で生産する方針を取引先に伝えたとのことです。移管先はベトナムとインドで、実現すればサムスンに次いで、中国から生産を完全に切り離す2社目の主要スマートフォンブランドになります。
Googleは2024年頃から生産拠点の中国離れを検討していることが明らかになっていましたが、実現まで数年を要した背景には、製造ラインの設計や検証、設備の調整まで含む立ち上げ工程を中国以外へ移す難しさがあったとみられます。こうした工程には多数の技術者やサプライヤーが必要になりますが、Googleは今年、ベトナムへの移管に成功したようで、中国に依存せず新機種を立ち上げられる体制が整ったようです。
移管先のベトナムにはサムスンが築いたスマートフォンのサプライチェーンがあり、Googleはこれを活用できるため、中国並みのサプライチェーンをゼロから構築する必要がありません。加えて、インドでもDixon Technologiesなどを通じた組み立てが進んでいるほか、インド政府もスマートフォンの国内生産に大規模な優遇策を投じています。ベトナムとインドの2拠点へ生産を分散することで、中国依存を減らすだけでなく、一国への生産集中を避ける体制も整いつつあります。
Pixelの出荷は8〜10%増の計画。メモリはクラウド向け調達に束ねる
スマートフォン市場全体ではメモリ価格の高騰が重荷となっており、2026年の世界出荷は前年比13.9%減の10.8億台まで落ち込む見通しです。Appleもメモリを十分に確保できず、2026年の出荷計画を引き下げていました。
一方のGoogleは、2026年のPixel出荷台数を2025年の約1,200万台から8〜10%増やす計画を取引先に伝えているとのことです。特に出荷拡大のネックとなるメモリについては、Googleがクラウド・AI事業向けに調達する分とまとめて発注し、Micron、サムスン、SK hynixと交渉を進めているようです。
特に近年はAI向けチップでもLPDDR5が使われるケースがあり、スマートフォン向けメモリと調達先が重なる場面があります。Googleは、購買規模が大きく価格交渉力も持つクラウド事業向けの調達にスマートフォン向けメモリをまとめることで、供給不足や価格高騰の影響を抑える狙いとみられます。
Appleなどの競合がメモリ不足を理由に値上げや出荷台数の削減を迫られる中、Googleは自社の調達規模を生かしてPixelの出荷を増やそうとしているようです。供給面ではシェア拡大を狙いやすい環境が整いつつありますが、その余力を実際の販売増につなげられるかは、今後投入するPixelの製品競争力にかかっています。


