NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti 16GBが輝く場面は高解像度。ただしRTX 4070と同価格で存在意義に疑問が残る結果に。

NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti 16GBが輝く場面は高解像度、高メモリー。8GB版より約40%高速化する場合もあるがRTX 4070を買った方がより幸せになれる。

NVIDIAが7月18日に発売したGeForce RTX 4060 Ti 16GB版については発売当初は88,800円と非常に高価で、2023年8月9日現在でも7.9万円程度と発売間もない事から高値で販売がされており、恐らくRTX 4000シリーズの中で一番魅力が無いグラフィックカードになっています。

この魅力が無い最大要因はRTX 4060 Ti 8GB版に対してゲーミング時の性能が大きく変わらないケースが多いという点があるのですが、RTX 4060 Ti 16GB版の最大のメリットであるVRAM容量を酷使する高解像度や高メモリーを必要とする場面においては大きく違いが表れるケースも見られているようです。

How bad is 8GB of VRAM in 2023? The newest games, RT on/off, Ultra, High, 1080p, 1440p, 4K – YouTube

今回、海外のYoutuberのDaniel Owen氏がRTX 4060 Ti 8GB版と16GB版でラチェット＆クランク パラレル・トラブ、Jedi Survivor、Forespoken、Cyberpunk 2077、バイオハザードRE:4、Remnant 2、The Last of Us Part 1の7つのAAAタイトルを用いて両者でのパフォーマンスの違いを比較しています。

最も大きな変化が見られたのは最近発売されたラチェット＆クランク パラレル・トラブルで、16GB版は8GB版に対してレイトレーシングありの最高画質設定では1080pでは34%、1440pでは43%、4Kでは85%も高いパフォーマンスが記録されています。レイトレーシング無しにおいても1080pおよび1440pでは30%、4Kでは50%など高解像度であればあるほど高いパフォーマンスが16GB版では確認できているようです。

ラチェット＆クランク パラレル・トラブルは最近発売されたタイトルという事で最適化が不十分でVRAM容量を大きく使用するためこの様な極端な結果になってしまっていると考えられます。しかし、VRAM容量を大きく利用するバイオハザードRE:4では1080pと1440pで10%程度、4Kでは24%ほど16GB版の方が高いパフォーマンスを記録しています。特にバイオハザードRE:4においてはVRAMの容量不足と見られる挙動が8GB版では多々発生しており、カクツキとしてゲームの快適性に大きな影響を与える計測中に見られた下位1%のフレームレートでは8GB版に対して16GB版は77~113%ほど優れる結果になっています。

ただ、8GBを超える様なVRAM容量を使わないケースにおいては8GB版と16GB版で有意差は無く、Remant 2やJedi Survivorでは1080pおよび1440pでは同等のパフォーマンスを指していたとのことです。ただ、4K解像度になるとVRAM容量も増えるためなのかRemant 2で7%、Jedi Survivorで14%ほど16GB版が高いパフォーマンスを記録しています。

RTX 4060 Ti 16GB版については8GB版とゲーミングにおいては大きな差が無いケースがほとんどでしたが、最新タイトルなどVRAMへの最適化が施されていないゲームやそもそもVRAM使用量の多いゲームなどにおいては16GB版は明確なアドバンテージを持っていると考えられます。

ただし、RTX 4060 Ti 8GB版に対して16GB版が4K解像度でバイオハザードRE:4は24%高いパフォーマンスを記録していますが、RTX 4060 Ti 16GB版と数千円しか変わらない上位のRTX 4070では4K解像度においてはバス幅なども広いためRTX 4060 Ti 8GB版に対して40%程度高いパフォーマンスを期待できます。（16GB版と8GB版で差が出なかった1080pや1440pでもRTX 4070なら30%程度高いパフォーマンスを期待できます。）

そのため、今回のベンチマーク結果の通りRTX 4060 Ti 16GB版は8GB版に対して優れている点があったとしても16GB版をおすすめできる理由にはならず、存在意義に疑問が残るグラフィックカードである事には変わりありないと言えます。