ZOTACなどを展開するPC Partnerが、2026年下期にはエントリー向けグラフィックスカードの品薄が一層深刻になり、平均販売価格をさらに押し上げる可能性があるとの見通しを示しました。
グラフィックスメモリの高騰でエントリー向けの供給がさらに絞られる
PC Partnerは、ZOTAC・Inno3D・Manliの3ブランドでグラフィックスカードを展開し、他社向けのODM/OEM生産も請け負うメーカーです。同社の主力であるグラフィックスカード事業では、2025年秋頃から続くメモリ価格の高騰でGPUやグラフィックスメモリといった主要部材の確保が難しくなっており、業界全体で供給不足と値上げが続いています。NVIDIAも決算説明会で供給改善は早くても2026年末との見方を示しており、部材不足の長期化は避けられない情勢となっています。
こうした中、同社が8月14日に公開した中間決算資料では、グラフィックスメモリのコストが今後さらに上昇する見込みで、下期はグラフィックスカードの原価が大幅に増えるとしています。グラフィックスカードの入手性も下期にさらに低下し、特にエントリー向けは一層深刻な不足に直面して、平均販売価格を押し上げる可能性があるとのことです。
実際に上半期の実績でも供給制約は数字に表れており、自社ブランドのグラフィックスカードの売上は前年同期比9.2%減の44億6,250万香港ドル、販売数量は18.4%減となる一方、平均販売価格は10.7%上がっています。数量減の主因はGPUとグラフィックスメモリの調達制約で、第2四半期には部材不足で生産量そのものが落ち込み、6月末時点の仕掛品は2025年末比68.8%減となっています。
数量が減っても増益
自社ブランドのグラフィックスカードは販売数量が2割近く減った一方で、全社の粗利率は10.5%から16.5%へ上がり、親会社所有者に帰属する純利益は117.9%増の5億4,550万香港ドルに達しています。ODM/OEM向けに至っては数量が38.4%減りながら平均販売価格が181.0%上がり、高価格帯の受注が増えたことで売上は73.9%伸びました。数量を落としても単価と利益率が上がる構造ができあがっており、限られた部材を単価の高い製品へ回す判断が、供給側にとって最も収益的になっているといえます。
国内ではエントリー帯の値上がりが先行
2026-07 時点の最安は ¥51,800、安値帯の平均価格は ¥56,233。
国内でもエントリー帯の実売は切り上がっており、GeForce RTX 5060 8GBの最安値は8月17日時点で62,980円と、30日で17.1%、90日で21.2%上昇しました。掲載製品数も90日前の27から21へ減っています。RTX 5050 8GBも最安49,200円と30日で12.3%上がっており、値上げ後の価格が反映された製品が店頭に並び始めています。
下期については、新規のGPUサーバー・AI関連事業の出荷が始まり、他部門の落ち込みを補うと同社は見込んでいますが、コンシューマー向けの部材配分が戻る見通しは資料に示されていません。
加えて各社AIBは販売台数が減っても高価格帯モデルを投入できれば収益を得られることが直近の決算で明らかになっているため、エントリーモデルの供給を積極的に続ける理由は乏しい状況になっています。そのため、もしRTX 5060以下のグラフィックスカードの購入を検討している場合は早めに検討しておいた方が良さそうです。


