2024年頃までTSMC 3nmの生産枠のすべてがApple独占に。サムスンにはチャンス到来?
TSMCでは2023年下半期にかけて同社の最先端プロセスである3nmプロセスを用いた半導体生産の準備が完了し、AppleがiPhone 15シリーズ向けにA17 Bionic、Macbook用にM3を製造する予定とされていますが、どうやらこのTSMC 3nmについては2023年から2024年辺りまでApple向けのSoCにすべての生産枠が埋められてしまい、TSMCはAMDやIntel、NVIDIA、Qualcomm、MediaTekなどApple以外の顧客に対して注文を受け付ける事が出来なくなってしまっているようです。
このTSMC 3nmについては当初は生産枠の内の90%はAppleが利用し、残りの10%をIntelに割り当てる予定としていましたが、Intel側が3nmで製造するチップの設計が遅延した事により生産計画に狂いが生じてしまったようです。その結果、TSMC 3nmの生産量は当初計画されていた2023年第四四半期の生産量は月間80,000~100,000ユニットから50,000~60,000ユニットに削減されてしまったとのことです。TSMCとしては3nmの生産量拡大については2024年頃から開始するため、結果的に上述の通りApple以外の顧客からの注文はすべて断っている状態になっています。
このTSMCの受注制限に対して3nmを活用した製品を投入した各社にとっては頭の痛い問題となりますが、この問題で最も恩恵を受けると見られているのがサムスンとなるようです。
サムスンについては歩留りの悪さから4nmは採用されてすぐにTSMC製に切り替えられた過去などがありましたが、ここ最近は歩留りを改善し始めており3nmに至ってはTSMCを僅かに超えるレベルであると言われています。そのため、今後、TSMC 3nmの注文を受け付けてもらえなかった企業については一部はサムスン電子製の3nmを採用する方向に動く可能性があるようです。
QualcommのSnapdragon 8 Gen 4はすべてサムスン3nmで製造へ。TSMC 3nmは供給能力不足。
特に、サムスンは3nmプロセスにおいて歩留りも優れているのですが、各社が最も気にする1枚のウェハーあたりの生産コストがTSMCよりも低いという価格競争力の優位性を持っています。実際、Qualcommは次世代のSnapdragon 8 Gen 4についてSamsungの3nmプロセスに外注することを検討していると言われています。
まだ、IntelやAMD、NVIDIA、MediaTekについては引き続きTSMC 3nmを狙うものと見られていますが、この中でAMDについては一時期、サムスンのファウンドリーを使うと言う噂も2022年頃には出ていたため各社がTSMC 3nmの生産枠が思う通りに取れない事が続けばサムスンでの製造も本格的に検討されていくと考えられています。
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