Intel Meteor LakeではAIを活用して消費電力を低減へ。ワットパフォーマンスはもう重要じゃないとも発言。

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Intel Meteor LakeはAIを活用した電力管理機能を搭載。従来よりも緻密に動作クロックなどを管理。

Intelの第一世代Core/Core Ultra CPUのMeteor Lakeでは2023年秋以降にノートPC向けに投入が計画されており、Alder Lakeから投入されているハイブリッドアーキテクチャーに加えて、CPUとGPU、アクセラレータなどが個別のチップレットに置き換えられたタイルアーキテクチャーを採用、さらにCPUについては電力効率に優れるE-Coreが完全新規のCrestmontアーキテクチャーに切り替えられるなどIntelのコンシューマー向けCPUとしては久しぶりの大規模刷新モデルとなります。

このMeteor Lakeにはアクセラレータの1つにAI処理エンジンとしてVPUなどが搭載されるなどAI対応が行われていますが、CPUの消費電力低減に大きな役割を持つ電力管理機能についてもAIを活用した機能が取り入れられる事がスタンフォード大学で開催されているHOT CHIPのプレゼンテーションで明らかになりました。

HUGIからAIへ:性能と電力効率の両立

2008年にインテルはCentrinoプラットフォームで、企業の電力管理の哲学を「HUGI(Hurry Up and Get Idle)」というキャッチフレーズで表現しました。これは、低電力のプロセッサが必要な仕事をできるだけ早く完了させて、低消費電力のスリープ状態に戻ることが重要であるという認識の表れです。

ただ、このHUGIではユーザーが行った操作に対してPCが素早く応答する事も考慮しており、その結果プロセッサにより多くの電力を供給する必要があります。そして、タスクが完了したら、プロセッサは低電力状態に遷移できるようになります。このような電力と周波数の動的調整は、Dynamic Voltage and Frequency Scaling(DVFS)として知られています。

Intelでは、第6世代CPUである「Skylake」にてこのDVFSの仕組みを取り入れた「Speed Shift」を搭載し、アクティブな高電力状態とアイドル状態の切り替えを機能的に行えるようにしました。しかし、このSpeed Shiftはあくまでユーザーがウェブページを開いたり閉じたりすると言った想定で作られており、単純であるがゆえに無駄も多く存在している状態でした。

そこで、Meteor LakeからはAIによる学習を活用して現実的な人間に近い操作を習得したCPUの電力管理を行うようになるようです。これによりユーザーがどれぐらいの頻度でどんな負荷のサイトを開くか、そして遷移していくかなどを推定するだけではなく、他のタスク例えばゲームやワード、エクセルなど幅広い作業でCPUに必要な電力を必要な分だけ供給するようになります。

冒頭で紹介したHUGIでは可能な限り早く処理を完了させ、低消費電力状態に移行するのですが、この場合各処理に必要な電力までは推定しないため、とにかく高い動作クロックで動作し作業を完了させようとします。しかし、Meteor Lakeでは各処理に必要なエネルギー量を推定しているため、CPUが高負荷となる時に必要な電力を供給しつつ、処理が終わるタイミングで素早く低電力へ移行する事が可能になっているため、CPUが余分な電力を消費する事が減るようになるとのことです。

Meteor LakeではこのAIを取り入れた電力管理によりCPUの応答性を最大35%向上させるとともに電力効率も最大15%高める事ができるとIntelのSoCアーキテクチャー開発を統括するEfraim Rotem氏は述べています。

なお、ここで使われているAIについては事前に学習されたものとなっているため、ユーザーの使用状況を監視し、リアルタイムでフィードバックするという機能は搭載されていません。ただ、これについては今後のCPUにて検討されているようです。

ワットパフォーマンスは重要ではなくなる??

Rotem氏が発表の最後に触れたのは、いわゆる「ワットパフォーマンス」(Performance per Watt)という、特にArmのようなエネルギー効率の高いアーキテクチャで重要視される指標が、もはや重要でないという挑戦的な発言をしています。Rotem氏によれば、ほとんどのノートPCは一日のうちで最大消費電力に到達する時間はわずか4分であり、デスクトップでもその時間は約100分に過ぎないとのことです。

そのため、CPUの消費電力と実際に時間経過で消費されるエネルギー量との比率は、プロセッサ自体が効率的になるにつれて減少するとのことです。

この発言自体はIntelのマーケティングに基づくものかもしれませんが、Intelの方向性としてはある1点のCPUパフォーマンスと消費電力(俗にいうワットパフォーマンス)を重視するのではなくCPUがあるタスクを完了するのに必要なエネルギーの面積を下げる事を重視しているようです。ワットパフォーマンスを向上させれば必要なエネルギーの面積も必然的に下がるのでイマイチワットパフォーマンスが重要ではないと言う発言は同意できませんが、この辺りの詳細はMeteor Lakeが正式に発表される2023年9月19日開催のIntel Innovationにて何か新しい情報が発表されると見られています。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (3件)

  • TSMCのプロセス使った製品にワッパで勝てないからと違う指標持ってこようとしてるの、もはやいつものインテルって感じで哀れ

    インテルもFab捨てて素直にTSMCに製造委託すればいいのに

  • 自動車のオートマで、目先坂道がきついのわからずに、ギアチェンジ→徐々に減速→ローギアみたいな感じになり、マニュアルには勝たんなってなるのに似ている。
    クルマにこそ欲しいわな、夢のAI

  • ラップトップで、最大消費電力に短時間しか到達しないのは、
    排熱が追いつかないからなんしゃ…

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