より効率的になった『Precision Boost Overdrive 2』が12月に登場。

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AMDのRyzenシリーズに搭載されている自動オーバークロック機能、『Precision Boost Overdrive』ですが、より効率的に動作する『Precision Boost Overdrive 2』がまもなくAMDから登場します。

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性能を下げずに、電圧を下降させる機能を搭載

自作PCなどを作られてCPUの様々なパラメーターを設定する作業は自作PCの醍醐味ともいえる要素です。その一つが最も有名な『オーバークロック』です。電圧とクロック周波数を上げて、高い発熱と消費電力と言うデメリットはあるものの、初期設定よりも高い性能を獲得する事が出来ます。一方で、少しマニアックな遊び方として、性能を維持したまま電圧だけを下げ、同じ性能をより低い消費電力と発熱で実現する遊び方もあります。今回、AMDが用意した『Precision Boost Overdrive 2』ではこれと同じ遊びをBIOSアップデートによって全自動で実現してしまう機能が搭載されるようです。

性能を維持したまま、CPUの電圧を下げるとは?

CPUに供給される電圧を下げると、その分だけ消費電力と発熱が抑えられるというメリットがあります。しかし、CPUの電圧は初期設定状態ではCPUが必要とする以上の電圧を供給するようになっています。

これは、マザーボードから供給される電圧はGPUやメモリーなど他の要因によって瞬間的に低下する事があり、この瞬間的な供給電圧の低下によるCPUのシャットダウンを防止する観点で電圧にはバッファーが持たせてあります。

性能を維持したまま、CPUの電圧を下げる場合は、このバッファーをCPUの個体差やPCの構成などに合わせて安定動作に必要な最低限の電圧に削る事を指します。

CPU個体差も考慮して電圧の最小値を自動設定

『Precision Boost Overdrive 2』の機能の一つである、『Curve Optimizer』と呼ばれるものが今回の目玉となる機能で、性能を維持したまま電圧を下げる機能になります。

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AMDによると、手動で行うCPUの低電圧化では、最も負荷のかかる作業をベースに電圧を設定します。そのため、アイドル時や負荷の軽い作業をする際にはCPUの電圧をもっと下げられるポテンシャルが秘められている事が多いとの事です。

そこで、この『Curve Optimizer』ではこの動作クロックの低い領域と、動作クロックが高い領域の両方をCPUに内蔵されたセンサーを利用して設定可能な最も低い電圧を割り出す仕組みになっています。

ただし、この内容やスライドを見ていると動作クロックが高い高負荷時には意味が無いように見えますが、そうでもないようです。

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AMDがCinebench R20のシングルコアテストを実施した結果です。Ryzen 9 5900Xの場合、通常時が631pt、『Precision Boost Overdrive』+200MHzオーバークロック状態では631ptで同点、一方で『Precision Boost Overdrive 2』を使ったところ、スコアが643ptに伸びています。マルチスレッドでの試験でも傾向としては、全く同じで『Precision Boost Overdrive 2』を使う事でスコアが伸びています。

 

現状の『Precision Boost Overdrive』を利用すると消費電力に比例して発熱が増えるため、冷却性能が必要十分な環境でPCを構築しないと『Precision Boost Overdrive』による性能向上の恩恵は受けられない事の方が多いですが、『Precision Boost Overdrive 2』では多くの人が恩恵を受けられる仕様になっていそうです。

『Precision Boost Overdrive 2』を搭載したAGESAは12月頃に登場

この『Precision Boost Overdrive 2』は発表されている通り、一部マザーボードには既にベータ版として搭載されており、400シリーズと500シリーズマザーボードに対応します。

正式版の登場時期は12月頃に予定されているAGESA 1180ファームウェアから実装される見込みで、『Curve Optimizer』の設定などはBIOSから設定するようになっています。『Precision Boost Overdrive 2』の詳細設定は最初はBIOSのみでしか操作はできませんが、2021年の早い段階までにAMDでは『Ryzen Master』での操作にも対応させる方向で動いている模様です。

最近、Ryzen 9 5950Xを購入し、『Precision Boost Overdrive』を試してみましたが、性能は上がるものの、消費電力と発熱と言うデメリットを上回るだけのメリットがあるかと言われると少々疑問でした。今回紹介した『Precision Boost Overdrive 2』では消費電力と発熱が多少は抑えられると見られているため、性能の伸びしろに対してどれだけの消費電力と発熱を受け入れなければならないかなどAGESA 1180ファームウェアと『Precision Boost Overdrive 2』が登場すれば確認してみたいと思います。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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