据え置き型と同じゲームを動かせるとされるPlayStation 6(PS6)の携帯型モデルが、AMDのRDNA 5を採用した専用チップを積む唯一の携帯ゲーム機になる可能性が出てきました。Steam Deck 2などの携帯ゲーミングPC向けの次世代チップは、RDNA 3.5を土台にしたGPUにとどまる見通しです。
携帯機向けのRDNA 5はソニーが事実上独占か
携帯型PS6は、据え置き型PS6と同じRDNA 5世代のGPUを16CU搭載するAMDの専用チップ「Canis」を使い、グラフィックス設定を下げれば同じゲームを動かせるように設計されており、発売も据え置き型と同じ2027年末を予定しているとされています。
そんな中、Digital FoundryのRichard Leadbetter氏が会員向けの番組で、携帯機向けのRDNA 5はソニーが事実上独占しているという話が水面下で出ていると明かしました。
AMDは専用チップの開発に大量発注を要求。応じられたのはソニーだけか
Canisのような携帯機向けの専用チップについて、AMDは開発の条件として大量の発注を求めているとされ、2025年10月にはKepler_L2氏が、Microsoft独自の携帯型Xbox向けチップではAMDが最低1000万台の発注をMicrosoftに求め、Microsoftは応じられずに開発を取りやめた可能性があると伝えていました。携帯ゲーミングPCの販売台数はSteam Deckでも約500万台、ROG AllyやLegion Goなどは100~200万台程度とされ、1000万台にはValveやASUSなどのメーカーも届いていません。
こうした大口発注に応じ、携帯機向けにRDNA 5の専用チップを作らせたのは、Canisを発注したソニーだけとみられます。
携帯型PS6はRyzen Z3搭載機を上回るGPU性能に。差は2030年頃まで続く見通し
Canisは、Kepler_L2氏によると15Wの消費電力で30W動作のIntel「Panther Lake」に近い性能を出し、Ryzen Z2 Extremeより速いうえ、レイトレーシングではXbox Series Sを大きく上回るとのことです。
一方、ROG AllyやLegion Goなどの携帯ゲーミングPCの多くは、ノートPC向けAPUをベースに携帯機の電力に合わせたAMDのRyzen Zシリーズを積んでおり、Ryzen Z1 ExtremeはRyzen 7040シリーズ、Ryzen Z2 ExtremeはStrix Pointがもとになっています。2027年初頭に搭載機が登場するとされる次のRyzen Z3も、Zen 6世代のノートPC向けAPU「Medusa Point」の設計を携帯機向けに組み直したチップで、CPUはZen 6×4+低電力コア×2の6コア、GPUは12CUとされています。Steam Deck 2向けのチップと噂される「Gainsborough」も、Ryzen Z3と同じ構成とみられます。
Zen 6世代のAPUでは、RDNA 5は内蔵GPUの性能を重視したMedusa Haloなどの最上位製品にしか載らないとされ、普及帯のMedusa PointのGPUは、RDNA 3.5にFSR 4用の演算命令を加えた「RDNA 4m」にとどまります。Ryzen Z3のGPUもこのRDNA 4mで、描画を受け持つ部分がRDNA 3.5とほぼ変わらないうえ、CUもRyzen Z2 Extremeの16CUより少ない12CUです。そのため、携帯型PS6はRyzen Z3を搭載する携帯ゲーミングPCを描画性能で上回り、RDNA 5で強化されたレイトレーシングではさらに性能差が開くと考えられます。
Kepler_L2氏は2026年1月、AMDが普及帯のAPUに2029年までRDNA 3.5系を使い続ける計画だと伝えており、それをベースにする携帯ゲーミングPC向けのチップも、2029年まではRDNA 3.5系のGPUを使う見通しです。RDNA 5は2027年に登場するため、普及帯のAPUが切り替わる2030年以降にはその次の世代が登場しており、携帯ゲーミングPC向けのチップはRDNA 5を飛ばすとみられます。
そのため、据え置き型PS6と同じRDNA 5のGPUを積む携帯機向けのチップは携帯型PS6のCanisだけになり、2027年末の発売後しばらくは、携帯ゲーム機の中でGPU性能の優位を保てそうです。


