PlayStation 5(PS5)の液体金属を巡り、ヒートシンク側の接触面が侵食され、清掃しても消えない損傷が残った事例が報告されました。
PlayStation 5の液体金属劣化がヒートシンクのメッキ侵食にまで進行
PS5はAPUとヒートシンクの間の熱伝導材として、サーマルグリスではなくガリウム系の液体金属を発売当初から使用しています。これまで液体金属の劣化として報告されてきたのは、乾燥・酸化による「ドライスポット」や表面張力による偏りで、1年半未満のPS5でも報告された液体金属の不具合のように短期間で症状が出た例もありました。


深刻な発熱症状で修理に持ち込まれた今回の対象は欧州向けSKUのCFI-1116で、2021年8月に登場した最初のマイナーチェンジ世代(CFI-1100系)にあたり、日本国内ではCFI-1100A01/CFI-1100B01が同じ世代のモデルです。ポーランドでゲーム機の修理を専門に扱うmodyfikatorcasper氏によると、内部にはかさぶた状になった液体金属の残留物があり、APUとヒートシンクの接触面周辺には広範囲に変色が及んでいたとのことです。


この残留物を取り除いたところ、APUのダイは鏡面のまま無傷だった一方で、ヒートシンク側はメッキが損なわれた箇所に、清掃しても消えない傷が残ったとのことです。これまでの劣化は液体金属そのものの乾燥や偏りにとどまっていましたが、今回はその侵食がヒートシンク接触面のメッキにまで進み、拭き取っても元に戻らない損傷として残ってしまっています。
ニッケルメッキが破れた状態での再塗布ではオーバーヒート再発の可能性も
ガリウムは銅などの金属へ徐々に拡散して反応する性質があるため、液体金属を使う機器では接触面にニッケルメッキを施して反応を防いでいます。メッキが健全なうちは液体金属を入れ替えれば冷却性能は戻りますが、今回のように障壁そのものが破れた面では、同じ処置で冷却性能が戻るとは限らないとみられます。
ソニーも2024年11月発売のPS5 Proと2025年11月発売のCFI-2100/2200系で、新型PS5に施された液体金属漏れ対策としてヒートシンク側に細かい溝を加えています。しかし、この溝についてソニーは「より安定的に冷却効果が発揮されるよう」加えたと説明しており、液体金属の偏りを抑えるための設計で、メッキの侵食を止める対策としては説明されていません。そのため、後継世代の接触面が長期使用の後にどうなるかは、まだ分かっていません。
今回のケースでは、メッキが損なわれた面に液体金属を塗り直すべきか、相変化素材「PTM7950」へ置き換える方が安全かなど、修理業者も最適な方法は分からないとしています。そのため、このようなサードパーティの修理業者へ依頼しても、液体金属に起因するオーバーヒートなどは確実に修理できるとは限らないようです。
なお、ソニーの公式修理サービスでは、液体金属関連のオーバーヒートはマザーボード交換の修理になるため、3~4万円とかなり高価な修理メニューとなるようです。一方、PS5は新品の国内専用版でも5.5万円するため、オーバーヒートに悩まされていて、あと1~2年以上はPS5を使うつもりであれば、液体金属は扱いが難しいこともあり、サードパーティの修理業者に頼むより素直にソニー公式修理サービスを利用した方がよさそうです。


