Apple M5 Ultraの80コアGPUが3DCGソフトBlenderのベンチマークに登場し、GeForce RTX 5090に約4%差まで迫りました。M5 Max比でもGPUコア数どおりの約1.9倍に伸びています。
M5 UltraはBlenderでRTX 5090の96%。RTX 5080の約1.7倍
M5 Ultraは、Appleが8月25日に発表したMac向けの最上位チップで、チップ同士をパッケージ内でつなぐAppleの接続技術UltraFusionでデュアルダイのM5 Maxを2基接続した4ダイ構成です。GPUは最大80コアで、9月22日発売のMac Studioでは上位構成にあたり、9月18日に登場したGeekbench 7の結果ではOpenCLで216,619を記録し、RTX 4080の218,906とほぼ同じで、RTX 5090の351,322はM5 Ultraの約1.6倍でした。
その80コアGPU構成が、Blenderのレンダラーで複数シーンを描画して速度を測るベンチマークの公開データBlender Open Dataに登録され、Blender 5.2.0のMetalで15,350を記録しています。RTX 5090がNVIDIAのレイトレーシング用API「OptiX」で記録した16,061との差は約4.4%、Geekbench 7では下回っていたRTX 5080の9,126に対しては約1.68倍となっています。
| GPU | GPUコア | API | Blenderスコア |
|---|---|---|---|
| RTX 5090 | 21,760 CUDA | OptiX | 16,061 |
| M5 Ultra | 80 | Metal | 15,350 |
| RTX 4090 | 16,384 CUDA | OptiX | 11,571 |
| RTX 5080 | 10,752 CUDA | OptiX | 9,126 |
| M5 Max | 40 | Metal | 8,113 |
| RTX 5070 Ti | 8,960 CUDA | OptiX | 7,700 |
| M3 Ultra(60コア) | 60 | Metal | 7,234 |
Geekbench 7の比較に使ったOpenCLはAppleが2018年に非推奨とした汎用計算APIで、レイトレーシング専用のハードを使いません。一方、BlenderのレンダラーCyclesは2023年11月のBlender 4.0から、M3以降のAppleシリコンではMetal上で専用ハードを使う「MetalRT」が自動で有効になっており、RTX 5090側もOptiXで専用のRTコアを使うため、Blenderでは両者が専用ハードを使う条件で比較されています。そのため、Geekbench 7でRTX 4080並みにとどまっていたのはOpenCLで測った影響が大きいとみられ、Metalに対応したBlenderのようなソフトではRTX 5090に近い性能が出ています。
M5 Max比は約1.9倍でコア数どおり。価格はRTX 5090搭載PCに並ぶ
M5 Max比でも、Geekbench 7では1.42〜1.51倍だったのに対し、Blenderでは40コアのM5 Maxの8,113に対して15,350と1.89倍になっており、GPUコア数の倍増にほぼ比例して伸びています。同じくGPUコア数が2倍のM1世代はBlenderでもM1 Maxの1,079に対しM1 Ultraが1,805と1.67倍にとどまっていたため、M5 Ultraで4.4TB/s以上に広げたUltraFusionのダイ間帯域が、長時間GPUを使い続けるレンダリングで効いていると考えられます。
価格は80コアGPUのMac Studioが1,183,800円からと、40コアGPUのM5 Max搭載Mac Studio(527,800円から)の約2.24倍ですが、Blenderでの性能差は1.89倍と、Geekbench 7の1.5倍前後より価格差に近づいています。一方、RTX 5090搭載BTOはRyzen 9 9950X3D2 Dual EditionにDDR5 64GB、2TB SSDを積むFRONTIER機が1,149,800円で、80コアGPUのMac Studioとの差は3万4,000円です。なお、RTX 5090単体は9月上旬に国内在庫が一時消えていましたが、9月23日時点では在庫のある製品が2つあり、最安は969,800円です。
そのため、Metal非対応のソフトではRTX 4080級に戻る点を踏まえても、BlenderのようにMetal対応のソフトを主に使うのであれば、M5 Ultraの80コアGPUを積むMac StudioはRTX 5090搭載PCとほぼ同額・同等性能で、GPUが使えるメモリも96GBとRTX 5090の32GBより多いため、Geekbench 7ではM5 Maxで十分に見えたGPU性能も、レンダリングが目的であればM5 Ultraを選ぶ理由になります。


