ソニーが小島秀夫監督の新作『PHYSINT』の共同開発から降りた理由が、納期の遅れと大幅な予算超過にあることが分かりました。引き継いだXboxは、Xbox版とPC版の両方で出す計画とされています。
ソニーがPHYSINTを降りた理由は予算超過と、PC版が収益にならない構造
『PHYSINT』は2024年1月31日配信のPlayStationの配信番組「State of Play」で、PlayStation Studiosとコジマプロダクションが共同で手掛ける完全新作として発表されました。小島秀夫氏は2025年5月のインタビューで完成まであと5〜6年かかると話しており、発売は2030年前後になる見通しでした。
しかし、小島氏によると2026年6月中旬にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)から突然メールでPHYSINTプロジェクトを中止するとの通達が届き、その後3か月かけて新しいパートナーを探していたとのことです。日本時間9月10日にはPlayStation Studiosが協業から離れると表明し、同じ日にXboxが『OD』に続いてPHYSINTのパブリッシャーになることが発表されました。
ソニーがPHYSINTの開発から降りた理由について、BloombergのJason Schreier氏が関係者に取材したところによると、直近2作の『DEATH STRANDING』と『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』がソニーの期待したほど売上を上げられなかったうえ、『PHYSINT』は複数の納期を逃し、発売が数年先であるにもかかわらず予算を大幅に超える見込みだったとのことです。
また、ソニーが数億ドルを投じても、PHYSINTは長期的なPlayStation独占タイトルにはなりません。『DEATH STRANDING』シリーズもPHYSINTもIPはコジマプロダクションが持っており、過去2作もPS版の発売から時間を置いて他機種で発売されているためです。
さらにソニーでは、ディスク版の生産終了時期の見直しも取り沙汰されるなど事業方針の変更が続いています。シングルプレイ作品のPC版展開も2026年に入ってやめており、5月18日にはSIEのスタジオビジネスグループCEOであるHermen Hulst氏が従業員にその方針を伝えています。『DEATH STRANDING 2』ではソニー傘下のNixxes SoftwareがPC版を手掛け、PS版以外からも売上を得ていましたが、PHYSINTではソニーがPC版から売上を得られず、PlayStation向けを中心に数億ドル規模の投資を回収する必要がありました。
XboxはPHYSINTをPCでも出す計画
一方のXboxは自社タイトルをPCにも展開しており、Bloombergが取材したXboxの戦略に詳しい関係者によると、PHYSINTもXbox版とPC版の両方を出す計画とのことです。次世代XboxもXboxとPCのゲームを動かす構想で、Asha Sharma氏が2026年3月5日に「Project Helix」として公表しています。
これまでの『DEATH STRANDING』シリーズは、初代がPS4版から約8か月後にイタリアのパブリッシャー505 GamesからPC版が発売され、『DEATH STRANDING 2』もPS5版から約9か月後にNixxes Softwareの移植でPC版が出ており、PCユーザーはPS版を買うか、PC版が出るまで待つかの二択でした。しかし、コンソール版とPC版の間隔を縮める動きは他社でも出ており、Xboxが出すPHYSINTはXbox版とPC版が同時期に登場する公算が大きいため、PCで遊ぶ場合は本体を買ったり、8〜9か月待ったりする必要がなくなる可能性があります。
ただ、新たなパートナーを見つけたコジマプロダクションですが、Xboxも現行モデルは販売台数があまり多くない上、市場環境や収益次第で大規模なレイオフを行った実績もあるため、今回の移籍で安泰というわけではなさそうです。


