中国製メモリーは減少へ。米国CHIPS法でシェアは25年までにほぼ半減へ。

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アメリカでは安全保障上重要となる半導体について中国にこれ以上リソースを提供するのを阻止するためにCHIPS法やScience法を制定し、その詳細が明らかになりましたがどうやら2025年までに中国製のメモリーは大きく減少する見通しのようです。

目次

中国に現行技術以上の設備投資は不可に。中国製のメモリー半導体の競争力は大きく減少しシェアは2025年までに半減へ

U.S. CHIPS Funding Terms Will Severely Restrict Chinese Chips Industry | Tom’s Hardware

アメリカで2022年に可決されたCHIPS法に関しては、米国商務省の標準技術局や国防省主導で、米国の半導体エコシステムの再構築や、国内の経済活性化、安全保障の強化を目指す政策で、半導体関連企業などに多額の補助金と共に『ある制約』を課す内容になっています。

この『ある制約』が中国に対するもので、補助金を受けた企業は向こう10年間は中国国内で最先端半導体の増産、増強を行わないというもので半導体分野で経済的な側面もありますが、中国に依存する現在のサプライチェーン体制の見直しや、権威主義への対抗という安全保障やイデオロギーの対立という側面も含んだ複雑な政策になっています。

一方で被害がある中国側も莫大な補助金を投入して半導体企業の誘致を進めているようですが、地政学リスクや中国の権威主義的な政策がリスクとしてSamsungやSK Hynix、TSMCなど多くの多国籍企業はアメリカのCHIPS法に基づく補助金を申請すると見られています。

色々複雑な要素が絡み合うアメリカのCHIPS法ですが、調査会社のTrendForceによるとこのCHIPS法によって中国でメモリーなど半導体製造を行うファウンドリ―は大きな打撃を受ける見込みであるとのことです。

現在、アメリカのウェハー装置メーカーであるKLA、Lam Research、AMATなどに対して既に14nm以下の半導体や128層以上の3D NAND、18nm以下のDRAMチップを生産する装置を中国へ輸出する事を原則禁止としていますが、CHIPS法に基づく補助金申請を行う企業は今後、中国に拠点がある半導体工場に対して新たな投資を行う事が不可能となります。

この影響を最も受けると見られているのが現在、中国で128層3D NANDを製造しているSK Hynixで、この128層3D NANDは2023年時点では競争力がありますが、より先進的なノードで3D NANDが製造されるにつれて競争力を失うと見られていますが、CHIPS法に基づく補助金申請を行えば競争力を確保するために中国の製造拠点を先端ノードにアップグレードすることは不可能となります。そのため、コスト競争力を失う事から生産量を減らさざる得ないと見られています。

このような影響を受ける事で、中国製DRAMのシェアは2023年末までは14%だったものが、2024年には13%、2025年には12%と徐々にシェアを減らしていくと見られています。DRAMに関してはあまり大きな変動は起きませんが、進化が激しく今後も需要が伸びるNAND系フラッシュに関してはより大きな打撃を受ける見込みです。

2023年末までは中国はNAND製造において31%のシェアを握っていますが、2024年には24%、2025年には18%と大幅な減少が見込まれるようです。一方で漁夫の利を得るのが韓国で、シェアは2023年は33%だったのが、2025年には43%にも伸びる事が予測されています。韓国は元々SamsungやSK HynixといったNANDを得意とするメーカーが多く、米国での生産を増やしつつ自国での生産に回帰すると見られています。

なお、CHIPS法による影響はNAND系のみならず半導体製品にも影響があり、TSMCでは中国に28nmの工場を構えています。この中国で作られる28nm半導体については2023年の7.5%のシェアから2025年には7.2%と大きくは変わらない見込みです。

旧世代の半導体については低価格が求められる車や家電などで需要はあるものの、新規に投資されることはあまりないため、シェアに関しては大きくは変わらない見通しのようです。

ただ、ファブレス企業では地政学リスクや規制強化に対する懸念から中国で製造している半導体製品を台湾などでの製造に移す動きが顕著化しており、旧世代のプロセスでつくる半導体を製造している台湾のVISやPSMCでは引き合いが増えているとのことです。

TrendForceによると今後は先端ノードなど世界各国に輸出する製品に関しては地政学リスクを回避するため、中国以外の製造拠点で作られる一方で、中国現地の需要を満たすファブが中国国内で新たに登場するなど2極化すると見られています。


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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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